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八村塁効果で売り切れ続出の「白えびビーバー」 メーカーの27歳社長に聞くブームの裏側

北陸製菓・高崎憲親社長インタビュー

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後継者になったのは未来を感じたから

――地方の中小企業、とりわけ製造業は厳しい時代だと言われています。後継者も育たないという話がいろいろなところから聞こえてきますが、高崎社長がこの事業を継ぎたいと思った一番の理由はどのあたりにあったのでしょうか。

高崎 この会社に未来を感じたという点が、私の中では大きいですね。逆に言うと、それを感じないから後継者不足になるんだと思います。さみしい話ですけど。「この家に生まれたから継ぐんだ」じゃなくて、「この会社いけるでしょ」って思ってやっています。まだまだ伸び代はありますよ。

北陸製菓の工場直売店には、多種多様な「おかき」が並ぶ

 その上でどこまでチャレンジできるか。この会社も創業100年ですから、けっこう古いんです。着ぐるみを作ったり、SNSを活用するといっても、最初は正直半信半疑でした。でも、結果が出てくると「間違ってなかった」と実感し、自信が持てました。

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八村選手の活躍を刺激に、スピード感を持ってチャレンジしたい

――伝統のある会社で新しいビジネスをやるという意味では、よく羊羹の老舗「虎屋」が展開している「トラヤカフェ」が例に出されますね。

高崎 トラヤカフェの話は社内でもよくしていますね。失敗したら失敗したでいい経験だと思いますし、あとはやっぱり気合いが入るんですよ。諸先輩方の意見を取り入れながら若手がやりたいことをやれる環境は、うまくいったときの喜びも大きいですからね。若手社員も増えてきて、楽しく仕事をやれていますね。100年後に200周年を迎えるためにも、私たちが何をやるのかが問われています。

 それこそ虎屋さんじゃないですけど、うちはビスケットやクッキーを手がけているのでカフェ事業にもチャレンジしたいですし、揚げあられという意味ではバーもありかなと。いろいろな経路でうちの商品を知ってもらって、企業理念である「世界に笑顔と美味しさをお届けする」を実現したいです。

――八村選手とは、コンタクトを取られましたか。

高崎 チームには反響があってからすぐにお菓子を送らせてもらいましたけれど、いろいろとご迷惑になる可能性もあるので、こちらからの連絡は控えています。ただ、実は私も小・中・高とずっとバスケをやってきたので、八村選手の活躍はとても刺激になっています。今後は、手応えを感じてきた部分をさらに推し進めて、スピード感をもってチャレンジしていきたいです。

 

写真=山元茂樹/文藝春秋

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