写真よりも動画で映えることを意識した伸びるチーズ系のメニューなど、動きのあるフードを出す店が増えているのも、こうした動きに即応した最近のトレンドだ。現に、中国本国ではTikTokは食べログのように使われている側面もあり、日本でもそのような使われ方が広まっていくことが想定される。食は多くのユーザーにとって共通の話題なので、シェアを考えるうえで大事な切り口だ。
インスタで映える写真を撮ることに比べると、写真の角度など気にしなくても音とエフェクトがあればそれなりに上手にまとまるという意味で、TikTokで発信することのハードルの低さをとらえることもできる。
映像に占める音の重要性は大きい。それをアプリが手助けしてくれることによって情報量は増し、目の前の体験もリッチなものとしてシェアすることができる。
それゆえ、ユーザーにとっての有限な「動画を観る時間」が、この両者で争奪されるような構図も次第に鮮明化するだろう。
「かわいい自分を残したい」というニーズに応えた
②盛れること
TikTokはユーザー全体で見ると若者だけに限らず、幅広い世代がダウンロードし、見て楽しむといった形で広がりつつあるが、投稿者に限れば若い女の子が目立つ。その視点から、よく使われる理由として、「盛れること」を挙げることができる。
TikTokで動画を撮影しようとすると、「美顔モード」があって、肌が綺麗になるフィルターを選択することができる。また、顔にはめるためのスタンプも各種用意されており、SNOWやインスタグラムとも近いニュアンスで自分を盛って楽しむことができる。
インスタグラムが「映える」ツールだとすれば、TikTokは「盛れる」ツールなのだ。こうした特性を活用した企業キャンペーンも増えており、例えば2018年のハロウィンシーズンにはあるお菓子メーカーがハロウィンに合わせた音楽やエフェクトを準備し、ユーザーにシェアしてメーカーのブランド名を広めてもらう施策を実施した。