「国民プロデューサーの皆さま、あなたの少年(少女)にぜひ投票してください!」

 こんなフレーズで始まる、韓国の人気オーディション番組『プロデュース』シリーズ。

「国民プロデューサー」と呼ばれる視聴者が、“公正な”投票により次のアイドルグループを誕生させるコンセプトだったはずが、その得票数が番組側でねつ造されていたことが発覚。完全なる“出来レース”だったことが明るみに出て、10月の国政監査でも俎上にのぼるなどK-POP界のみならず韓国社会を揺るがしている。

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シリーズ第3弾『PRODUCE 48』からデビューしたIZ*ONE(アイズワン)©Getty Images

「最終結果があまりに不自然」との声が爆発

 発端は7月。5月から放送が始まっていたシリーズ第4弾『プロデュースX101』の最終結果が19日に放送された直後だった。韓国紙記者の話。

「どのシリーズでも特定の練習生にスポットが当たっている“悪魔の編集”がされているなどの疑惑が燻ってはいましたが、X101の最終結果はあまりにも不自然だという声が爆発しました。

 視聴者から『原本集計データを公開してほしい』という要求がでましたが、うやむやにされるとファンらは『プロデュースX101 真相究明委員会』を立ち上げて、弁護士雇用のためのクラウドファンディングを始めました」

 同真相委員会はついに弁護士を雇用し、8月1日、ソウル中央地方検察庁に番組関連企業などを告発。番組プロデューサーは取り調べを受け、企画・放映していた音楽専門ケーブルテレビチャンネル「Mnet」とその親会社「CJ ENM」、そして複数の所属事務所(プロダクション)も家宅捜査を受けている。

練習生が課題曲で競演し、視聴者投票が行われる仕組み

 同番組は、素人が参加する他のオーディション番組とは異なり、すでに各事務所(プロダクション)に所属しデビューを夢見て練習を重ねてきた練習生(10代~20代)が参加するスタイル。グループに分かれた練習生が与えられた課題曲で競演し、その後、視聴者投票が行われていた。

デビューを賭けて行われた『PRODUCE X101』最終回の公演


 誕生したアイドルグループは期間限定でデビューする仕組みで、これまで4組のアイドルグループを輩出。昨年放送されたシリーズ3の『プロデュース48』ではAKBとコラボレーションし、番組から誕生した女性12人のアイドルグループ「IZ*ONE(以下、アイズワン)」にはHKTの宮脇咲良と矢吹奈子、AKBの本田仁美の3人もメンバーとして所属していた。

 アイズワンは日韓両国で人気を集めており、11月11日にはデビュー1周年を記念したアルバムが披露されるはず、だった。