60歳から、身の回りのものを「老前整理」していく様子を記録するブログを始め、多くの読者を獲得していた著者。そんな著者が、月に12万円の生活費を工夫して送っている、慎ましくも豊かなひとり暮らしの模様を綴った書籍が好調だ。
「実は当初は、写真を主体にした、いわゆるスタイルブックを作るつもりでした。でも、打ち合わせで3時間ほど話し込む中で感じた著者の人生観が、一本筋が通ってとても惹きつけられたのです。42歳のときに別居され、5年後に離婚。それから営業の仕事を始めて57歳で退職するまで、ずっとひとりで自活されて来た。そうした経歴もあってか、生活の中で何を捨て、何を残し、何にお金を使うのかといった、ひとつひとつの行動に対して著者はすべて明確な理由が説明できるんですよね」(担当編集者の水沼三佳子さん)
たとえば、大きな家具は自分ひとりで動かせるものだけを残す。食費は月に2万円と決め、日頃は質素に済ませるが、離れて暮らす息子たちと会う機会には少し手のこんだ料理も。食器は数は絞り込むがこだわりの品を揃えて、質素な食事の満足度を上げる。
「節約とこだわりのメリハリが読者に支持された印象です。著者と同世代の方から、『勇気づけられました』という感想が葉書や電話で多々寄せられたのが嬉しかったですね」(水沼さん)
2019年7月発売。初版7000部。現在7刷10万部