「後ろめたくないのなら日本は裁判に出てくるべきなのに、出てこない日本にこそ罪がある」
韓国人の元慰安婦やその遺族らが日本政府に損害賠償を求めた訴訟の第1回口頭弁論が11月13日、ソウル中央地裁で開かれた。法廷で原告の元慰安婦の女性は床にひざまずき、泣きながら裁判長に冒頭のように訴えた。この女性、2017年11月にトランプ米大統領が訪韓した際、韓国大統領府での晩餐会で突然、トランプ氏に抱きついた人物といえば分かりやすいだろう。
慰安婦問題をめぐって日本政府が被告となる裁判の審理が、韓国で行われたのは初めてのことだ。日本政府が出廷しなかったのは、外国政府が他国の裁判を受けるのを免除する国際法上の「主権免除の原則」に基づく当然の判断だった。
韓国国内では、この慰安婦訴訟が民事訴訟であることもあり、韓国最高裁が日本企業に賠償を命じたいわゆる徴用工訴訟の“慰安婦版”とする見方も広がっている。今後、徴用工訴訟の判決の流れを受けてこのような裁判が進められるようなことがあれば、日韓関係を一層悪化させることになる。
“ちゃぶ台返し”の歴史
今回の慰安婦訴訟は2016年12月、元慰安婦ら20人が「精神的、肉体的苦痛を受けた」などと主張し、日本政府に約30億ウォン(約3億円)の損害賠償を求めたものだ。