増税開始前の1年間で消費者態度指数がどれだけ変化したかを確認すると、1989年4月は1年前の88年6月調査から89年6月調査までで(この時は四半期調査だった)2.2ポイント低下しました。
1997年4月の消費税率引き上げ時(3%⇒5%)には、1年前の96年6月調査から97年6月調査までで4.2ポイント低下しました。
2014年4月の消費税率引き上げ時(5%⇒8%)は1年前の13年4月調査から14年4月調査までに7.4ポイント低下しました。
今回は、1年前の2018年10月調査から足元(19年9月調査)までに、5.9ポイント低下しています。
そして、消費税率引き上げてから消費者態度指数が1年前の水準に回復するまでにかかった期間を調べてみると、1989年4月の消費税導入時は6カ月、1997年4月の消費税率引き上げ時は6年11カ月、2014年4月の消費税率引き上げ時は3年7カ月かかっています。
前回5%を8%に上げたときは、国民への還元分は増税分の20%に過ぎませんでした。政府によると、今回はそれが70%に上るため、増税のダメージはそれほど大きくないということですが、どうなるでしょうか。
たとえダメージが軽かったとしても、過去の例から考えると、最悪の場合は今回も数年から7年近くかかるかもしれません。しかし、経済悲観論者が主張する、とんでもないことになるという話は、私は違うと思います。デフレ脱却が鮮明になった日本経済は、たいへん底堅いからです。
財務省の構想「全世代型社会保障」で新たな国民の負担
消費税増税による日本経済へのダメージがそれなりにあるとしても、手を緩めないのが財務省です。国民の負担増は、おそらくこれからも相次ぎます。
それは社会保障改革の名目で行われる負担増でしょう。
安倍政権は、社会保障改革へ向け新たに会議を新設する意向を示しました。政府は、1億総活躍、働き方改革、人生100年時代とやってきましたが、その総仕上げ的なものとして全世代型社会保障というものを構想しているようです。