第2回プレミア12で日本が初優勝を果たした。15年の第1回前回大会の準決勝で9回に逆転で敗戦を喫し、優勝をさらわれた韓国を下し、09年WBC以来10年ぶりとなる世界一に輝いた。

 こうした国際大会で活躍できる選手やチームは一体どのようなものなのか。野球の構造や傾向、過去との比較からアナライジングしていく。

 

投手に重視される能力とは?

 野球は投手がボールを投げなければ始まらない。どうしたって、投手が主体で、打者は受け身で投手のモーションやボールに合わせていくしか無い。データや映像、スカウトによる対戦相手のスカウティング情報は以前とは比べ物にならないほど多くなっているとは言え、国際大会では日頃ほとんど対戦がなく、また実際に見たこともない外国人選手が相手となる。こうした中で、投手はまずそのデータ通りに、また相手がどうやっても打てないボールを投げて、計算通り打ち取れる能力が何よりも重視される。短期決戦の国際大会では何が起こるかわからない。追い込んだら三振で打ち取り、打球が前に飛んでもゴロ、弱い打球やポップフライに打ち取ることができれば良い。代表クラスともなれば、野手の守備も一流揃いであり、計算できる。

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必要なのは「スラット・スプリット型投球」

 そのためには何が必要か。何よりも落ちるボール、スプリットやフォークに縦のカッターや速い縦スライダーとも言えるスラッターが必要である。これを私は「スラット・スプリット型投球」と呼んでいる。

 外国人はスプリットに慣れていないから打てないと言った言説がまことしやかに囁かれるが、半分正しく半分は正しくない。そもそも人間は落ちるボールに弱い。これは拙著「セイバーメトリクスの落とし穴」(光文社新書)でも繰り返し強調しているのでそちらを参照していただきたい。

 そして、日本にはフォークを投げる文化が浸透しており、過去からフォークやスプリットを投げることに抵抗がなく、技術も継承されている。落ちるジャイロシンカー気味のチェンジアップやスラッターがメジャーリーグでも主流となっているとは言え、スプリットを国家クラスでこれだけ扱えるのは世界で日本しかない。落ちるボールを投げられる投手、野茂に始まり、上原、黒田、岩隈、田中将大、大谷翔平、平野佳寿らがメジャーでも代々活躍しているのはそのためである。