山口俊と今永昇太の違いとは
今大会でも、落ちるボール、スプリットやチェンジアップ、スラッターをメインとする投手の活躍が目立った。新人ながら全試合で無失点に抑えたソフトバンクの甲斐野央やセットアッパーとして大活躍したオリックスのエース山本由伸、クローザーの山崎康晃、先発では今永昇太が大活躍した。彼らはいずれも追い込んだら落として空振り三振を狙ってとることができた。まず、間違いを起こさなかった。
先発の軸としてもう1人期待されたのが、決勝でも先発を任された山口俊である。ポスティングでのメジャー移籍が噂される山口も、また一流のフォークの使い手である。しかし、シーズン中から中5日を繰り返し、日本シリーズまで投げぬいた山口は、イメージに反して繊細なところがあり、それ程頑丈でもない。投げすぎて球威が落ちてしまっていた。
腕を下げてシュート回転するストレートを減らし、ボールが先行して打者有利のカウントでも質が抜群のフォークを制球良く投げ分けて15勝をあげセ・リーグで投手3冠を達成し、不調のエース菅野を補ったのが今年の山口だった。スラット型のスライダーも織り交ぜるスラット・スプリット型投球はメジャーのスカウトがかねてから注目する程メジャーや外国人打者への適性が高いが、ストレートの質は悪かった。元々、よくはないストレートが走らず、この大会では苦戦した面があった。
そうしたストレートの質が高いのが、今永である。回転数が多く、回転効率がおそらく良い(すなわちジャイロ成分が少なくホップ幅が大きい)、いわゆる伸びのある4シームは外国人打者がまた苦手とするボールである。上原らがかつて国際大会で強かったのは、スプリットに加えて、こ
また、当然にメンタルや場数も重要となる。抑えの山崎康晃はボールの強度などでは甲斐野や山本由伸よりは劣るものの、メンタルが強く制球も良い。国際大会の、その9回ともなれば、プレッシャーも並大抵ではない。