日本人投手の「タメ」は世界的に見て独特
さらに、ポリバレント性も必要だ。代表というのはチームであり、ただエース級を揃えてオールスターチームを編成すれば良いというのではない。決勝の山口俊のように先発が不調の際にはすぐに第2先発として試合に入れる投手も必要となる。ソフトバンクのアンダースロー、高橋礼は中4日での登板もリリーフも、短期決戦も全てにおいて経験が豊富であり、低い角度から異次元のスピードの速球を投げることができる。山本由伸も今季から先発に転向したとは言え、セットアッパーの経験がある。日頃から先発の経験しかないエースクラスを、急にリリーフに回すにはリスクもある。また、大竹寛のようなベテランや嘉弥真のようなワンポイント、局面においてのみ仕事をできる人材も必要となる。
日本人選手のモーションというのは、世界的に見れば独特である。投手は足を上げてから一旦止まり、いわゆる「タメ」を作る投手が多い。これは、海外の打者から見れば、日頃見慣れている速いモーションの投手達と比べれば打ちにくい。間のとり方が異なるわけである。日本人投手はレベルが高い上に、外国人選手からすればモーションや間が異なるため、自分の投球をしっかりして、ボールを落とすか、速球を浮かすことができれば抑えやすくなる。
一方、野手はそうはいかない。日頃対戦している日本人投手とは異なるモーションの投手を相手に、データや情報も少ない中で初見で対応していかなければならないわけである。足を上げているから動くボールを打てないのではなく、一旦止まる日本人投手のモーション向けにゆっくりとタイミングをとっているから差し込まれやすい。差し込まれると、当然ゴロが増える。これが日本の打者が国際大会の動くボールに毎回のように苦戦する大きな理由である。