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ついに参戦した動画配信サービス「ディズニー+」は何がすごい? ネットフリックスの生き残り戦略は?

genre : エンタメ, 映画

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定番作品のバリエーションに「テレビ」も

 The Hollywood Reporterは、ポッドキャストで再三にわたり、定番作品(library contents)のバリエーションが動画配信サービスとして重要だと報じている。定番作品とは、認知度の高い人気作品のことだ。直近では、アメリカで強い人気のあるシットコム『フレンズ』(1994年放送開始、2004年放送終了)がネットフリックスでの配信終了とともに、ワーナーメディアが発表した「HBO Max」にて配信されることが決定。「HBO Max」ではスタジオジブリ作品も配信されることが発表されている。

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 各動画配信サービスが、オリジナルの新しい作品を作り続けていく一方で、従来型のテレビで愛されてきた定番作品を動画配信に移行する権利の奪い合いが起きている。ユーザーとしては、自分の見たい作品がどれだけ多く配信されているかが満足度の高さにもつながるため、定番作品のバリエーションとボリュームは加入前にできるだけ確認したいところではある。その意味でも「ディズニー+」は、そもそもウォルト・ディズニーが抱えるコンテンツの殆どが定番作品であり、今後は定番作品に関連した新作も多く配信を控えているため、ユーザーのサービス継続を誘引しやすいのではないだろうか。その点でも、「ディズニー+」が業界に与えるインパクトは非常に大きなものであると言える。

日本でのネットフリックスの躍進が意味するもの

 日本では「ディズニー+」の上陸そのものが未定である。しかし、ディズニーの海外ドラマや映画、アニメなどを楽しめるBSチャンネル「Dlife」の放送を「ディズニーが国内で展開する放送局の方針を検討した結果」、2020年3月に終了することが発表され、「ディズニー+」日本上陸への期待が高まっているようだ。

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 東洋経済オンラインによると、日本でのネットフリックスの視聴者数は約300万人と増加傾向にあり、WOWOW、Huluなどの他社を抜いて前年度比伸び率77%と好調だという。今は、動画配信サービスが浸透する過渡期だ。アニメやドラマなどネットフリックスの質の高いコンテンツが視聴者数増加に大いに貢献している。日本でのネットフリックスの躍進は、従来型のテレビから動画配信サービスへとユーザーの視聴スタイルを大きく変える転換期を示しているともいえる。

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 これまでは、ケーブルテレビや地上波のテレビで楽しんできたユーザーが、低価格の動画配信サービスで、テレビだけでなくパソコンやスマートフォン、タブレットなどでいつでもどこでも作品を楽しめる時代になった。加えて、動画配信サービスでは基本的に放送時刻という概念がないことが多く、ユーザーが放送時刻に合わせる必要がない。自分が好きな時間に好きなように作品を楽しむことができ、その上CMもないためより作品に集中できる。