片貝川の水を水力発電にも活用
「分水槽は全国に170ほどあるそうですが、この東山円筒分水槽が一番美しいと言われているんです」(同)
一般にはあまり馴染みがないが、円筒分水ドットコムというサイトがあるほど一部のマニアには注目されている。
しかも、ここ東山円筒分水槽では水を分割するだけではない。片貝川の水は、北陸電力の水力発電所「片貝第一発電所」の発電用に利用されている。そして、放水口から水路トンネルを通り、円筒分水槽に運ばれる。無駄がない。
観光としては写真撮影のスポットにもなる。満月の夜に訪問できれば、インスタ映えを狙った撮影もできるはずだ。毎年春先には掃除のために分水槽の水を抜くという。マニアにはたまらない瞬間だろう。
上流には「富山の37滝」選定の沌滝が
さらに上流部へ。すると、「富山の37滝」にも選定されている「沌滝」がある。落差25メートルの段瀑(3段)だ。「沌滝」の岩は、約6600万年前の火砕流が冷えて固まったものだという。
周辺にはトチノキが群生している。雪崩から守るために、禁伐林として保護されている。樹齢数百年のものもあり、登る前に見ているだけでも癒される。
この季節だからこそ、トチノキの実も落ちていたり、キノコが生えていたりするが、シソ科の「ムラサキシキブ」という植物を目にすることもできた。
滝見台に行く途中、分かれ道になっており、右方向に曲がると、沌滝川を渡ることになった。この日は水量が多いため、注意しながら渡った。登るのに苦労しつつ、沌滝にたどり着く。山の中でマイナスイオンを浴びることができる。iPhoneの内蔵カメラのスロー機能を使うと幻想的だ。
一度、川付近まで戻り、逆の方向に登ると、風穴がある。沌滝までの道のりも疲労感があるが、風穴まで来ると、汗をかき、涼しさが恋しくなる。「風穴では冷たい風が流れているのでは?」と期待して登っていく。標識の横に、岩の穴を見つけることができた。
穴の前に立つ。「涼しい風か!」と思いきや、なにも吹いてない。穴に手を入れても何も感じることができなかった。季節によっては、風は吹かないということか。今度こそ、冷たい風を浴びにこようと思ってしまったが、またここに登るのか? どなたか、沌滝までご一緒しようではないか。
さらに片貝川の上流へ向かうと、途中で自然環境保護のためもあり、マイカー規制になる。その先には「蛇石(龍石)」と「洞杉」があるが、「市道南又線駐車場」から50分ほど歩くことになる。なお、駐車場の手前にあるキャンプ場から先は携帯電話の電波は届かない。今回は、特別な許可を得て、車で進むことになる。