毎年億単位の寄付金を集めているにもかかわらず、厳しい批判にさらされている番組がある。チャリティー番組の『24時間テレビ』(日本テレビ)だ。以前から存在した、出演者に出演謝礼が支払われることに疑問を呈する言説に加え、近年では番組が、健常者を感動させたり、やる気を出させるために障害者を利用する「感動ポルノ」にあたるとする言説も増えている。

 私、ダブル手帳は1993年生まれの脳性麻痺・発達障害当事者だ。アニメファンであることや、就活における自身の経験から、メディアにおける障害者の描かれ方について興味を持ってきた。

 この番組を生み出した人は、一体どういった考えを持って、番組を企画したのか。今の『24時間テレビ』をどう見ているのか。そして、番組に寄せられている批判に、どう答えるのか。そういったことが気になり、『24時間テレビ』発案者の都築忠彦氏(84)に取材のお願いをしたところ、快く引き受けていただいた。

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都築忠彦氏。背景にあるのは1980年の『24時間テレビ』のポスター。コピーは糸井重里氏によるもの

 都築氏は1935年生まれ、愛知県出身。東京大学経済学部卒業後、1961年に日本テレビに入社した。中編では、『24時間テレビ』に寄せられている批判について、どう考えているかを聞いた。(全3回中2回目/1回目から読む)

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「出演者はノーギャラでやるべきだ」について思うこと

――近年、『24時間テレビ』を批判する声が高まってきていることはご存知ですか。

都築 ええ、ネットも見ますので知っています。

――『24時間テレビ』の発案者として、そのような批判についてどうお考えか、ぜひ伺いたいと考えています。まず「出演者はノーギャラでやるべきだ」という批判については、どうお考えですか。

都築 もしギャラを払わないということであれば、今の番組の形式そのものが成立しなくなってしまいます。別に、大スターだけがこの番組に出ているわけではないんです。『24時間テレビ』での収入が大きな足しになる人だっていますし、出演者だけでなく、スタッフもいますからね。そこのところは、もっと現実的に考えてもらいたい。

 現在のビジネスモデルを、まず成立させて、放送することが重要だと思います。そのうえで、出演者が寄付をするのが、合理的でしょう。森光子さんは、そうしていました。

 

――「番組自体をやめて、全額寄付に回せ」という、極論を唱える人もいます。

都築 それでは、『24時間テレビ』の原点であるコンシャスニス・レイジング、つまり問題をまず知ってもらうという、大事な機能が失われてしまいます。世の中には暴力や格差、差別といった問題がたくさんあるわけなんだけれども、そうした問題を解決するには、まず知ってもらわなければならないでしょう? そのためにコンシャスニス・レイジングは必要です。

 もし日本テレビがやらずに、『24時間テレビ』がやっていることを新しくやるとなると、人にも施設にも莫大な費用がかかって、それこそ寄付どころではなくなると思いますよ。スポンサーを集めるためのテレビ番組なしで、しかもノウハウや信用もなしで、出来ると思いますか? コンサル会社みたいなのが出てきて、多額のお金を取られ、別の偽善がはびこり大赤字になると思いますよ。