現在放送されているNHK朝の連続テレビ小説『スカーレット』。その舞台となっているのは滋賀県の山奥にある信楽という町だ。そして信楽には信楽高原鐵道という鉄道が通っている。この町に公共交通機関で行こうと思えば、ほぼ唯一に近い鉄道路線。いったい、どんな路線なのだろう。訪ねてみることにした。

滋賀県を走る「信楽高原鐡道」には何がある?

JR京都駅からは1時間ほど

 信楽高原鐵道は貴生川駅から信楽駅までを結ぶ全長14.7km、わずか6駅だけの短いローカル線である。貴生川駅は琵琶湖畔を走るJR琵琶湖線の草津駅で草津線に乗り換えて5駅目。草津駅から約30分、京都駅からでも1時間ほどで到着する。草津線と信楽高原鐵道のほかには近江鉄道の路線も接続する、いわば甲賀地域のターミナルだ。そんな貴生川駅の端っこから発車するのが信楽高原鐵道。15kmに満たない小さな旅の始まりである。

「信楽高原鐵道」と周辺の路線図

 2両編成のディーゼルカーに乗り込むと、車内は“ローカル線”のイメージに反してかなりの盛況であった。空席がなくて座れないなどということはさすがになかったが、年配のグループを中心とした観光客で車内はずいぶん賑やかしい。さらに信楽よりの車両ではテレビクルーがなにかしらのロケまでしている。どうやら、朝ドラ『スカーレット』の効果はバツグンのようだ。

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「ドラマ効果で10%増です」

「実際、10月からは通常と比べて10%くらい多くのお客さまにご利用いただいています。ドラマの効果というのは大きいですね」

 こう笑って話してくれたのは、今回取材に対応してくれた信楽高原鐵道の神山敬介さん。朝ドラ効果は信楽高原鐵道に限らず信楽全体に及んでいて、多くの観光客がやってくるようになった。信楽高原鐵道でもこの機を逃してなるものかと信楽の窯元などと協力して観光ツアーを誘致するなど、観光客の呼び込みに力を入れているという。

取材に応じてくれた信楽高原鐵道の神山敬介さん

「あいにくウチの会社は少人数なので自社だけでいろいろ営業することは難しい。なので、地元事業者と協力して観光ツアーの一部に組み込んでもらうんです。バスで信楽まで来ていただいて、帰りに信楽駅から貴生川駅まで鉄道に乗っていただくとか」