「×××××を取り出して……」雑誌は初夜の会話を再現
盛り上がったのは新聞以上に雑誌だった。週刊朝日12月11日号は「彼女の抗議書」の見出しで「事件」の経緯を説明。その中で初夜の2人の会話を再現している。
「寝室に入った二人はやがてベッドを共にしたが、いよいよ結婚の実を挙げるという時に、浩君が×××××を取り出して『これ知ってる?』と問うた。知らないと答えると、『いますぐに子どもができても、お互いに厄介だしするから、当分これを×××××しておこうよ……。冬にはスキーにも行けないしね』との言葉。
不自然なことでもあり、何となく不安にもかられたので、『そんなことするのだったら、わたし父さんに相談してからにするわ』と答えると、『こんなことは夫婦のあいだで解決すべきことだ。うっかりこんなことを先生に話すと大変なことになる。僕、教室にいられなくなるかもしれない』と明らかに周章と当惑の色さえもうかがわれた。
そこではじめて疑念を抱いて問いただしてみると、『実は……』というので、二年前卒業式の夜、級友たちとの祝酒に、その酔いにかられて初めて味わった――しかも、前にも後にもただ一度の――禁断の木の実に、童貞を失うとともに、静子さんの最も恐れている性病に感染したことを告白したのであった」
鳥潟家側からの暴露情報であること間違いないだろう。「諸家の批判」では、元官僚で朝日の副社長を務め、終戦時には内閣情報局総裁になる下村海南(宏)が「男性への警鐘」と述べ、女性運動家の山田わかが「娘の言うことが正論」とし、男性の責任を追及して、静子を「待望の女性」と称賛している。
冷静に「親が定めた婚約というだけ」と答えた静子
同日付発行のサンデー毎日は「結婚解消問題 裁かるる男性」の特集を組んだ。同誌では記者が、問題が公になった直後、静子にインタビューしていた。静子は初夜の「意外の告白」について問われ「性病にかかっていたのです」とはっきり返答。こう語っている。
「性病にかかるなんて人格の上の傷です。それも、性病にかかっていることを事前に打ち明けてくれるならばまだしも、あくまで隠し通そうという気持ちは耐えられません。挨拶状には、相手から自発的に性病のことを告白したようになっていますが、実は不自然な方法を用いようとしたので、私が変に思い追及したので、致し方なく打ち明けたのです。隠せるだけ隠そうというつもりだったのだと思います。
性病だけなら許すこともできましょう。けれどもこうした行為を思うと、どうして将来を託すことができましょう」。記者に「長岡氏はあなたを愛してはいなかったのですか?」と聞かれ、静子は「好きでも嫌いでもなかったのです。親が定めた婚約というだけです」とも答えている。応答を見ても、聡明で冷静なことが分かる。