「あたしの話を聞け」貧困女子ルポライターが呼び出され、出会った少女は圧倒的な怒りに満ちていた。興味をひかれ、2年越しという長期間に及ぶ聞き取り取材を続ける中で聞こえた“彼女の言葉”。
“貧困女子”ルポライターが呼び出された少女に「不幸少女のカタログ」と罵られた日より続く

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単純な善意や常識的な理屈は邪魔でしかなかった

「売春による稼ぎで居所不定の生活を送る未成年の少女」は、本来保護とか支援とか、児童福祉の対象なのだが、そうした文脈で自分たちが被害者扱いされることに、19歳の里奈は激しい抵抗感を示した。

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「金で買われてんじゃなくて、売ってやってるんだけど?」

 それはやはり第一に、そうして自力で生きる少女らが、たとえ自らの性を切り売りし搾取されようとも、たとえ時には暴力の被害など恐ろしい経験をすることになっても、「自分の力」で生きていることを誇りに思い、その場で得られる自由とパワーの中に、それぞれ十代の少女なりの青春を味わっていたからだ。

 少女らの生きる世界の眩しさと逞しさを前に、単純な善意や常識的な理屈は邪魔でしかないのだと改めて思い知った。少女らからすれば、たとえどんなに劣悪な環境であっても、自分の力で奪い取った自由を誰にも侵されたくないのだ。

 里奈の語る生い立ちや物語に、僕自身の価値観そのものも、大きく覆された。

 里奈やその仲間たちは平然と言い切る。

「金で男に抱かれることとあたしの自尊心は、関係ない」

「金で買われてんじゃなくて、売ってやってるんだけど?」