Illustration 師岡とおる

 鉄道ファンの間から絶賛の声を集めているのが「路線図」というアプリ。JRや新幹線はもちろん、路面電車やモノレールまで、全国八百路線を収録したこのアプリは機能的にはごくシンプルなもの。

 しかし、「中学生の頃から手書きで路線図を書いていた」という作者のこだわりが共感を呼び、シリーズ全体で百五十万ダウンロードのヒットに。

「線路が交差する部分は立体的に描かれ、どちらが上を走行するのかが分かる。他のアプリでは省略されがちな山岳部のスイッチバック(線路の折り返し)も緻密に描かれている点に感動する」(利用者)

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緻密な表現で人気

 近年は鉄道ファンの細分化が進み、写真撮影を楽しむ“撮り鉄”、時刻表にこだわる“スジ鉄”など様々だが、このアプリの作者は“乗り鉄”とのこと。デザインからプログラムまでの全作業を一人でこなし、二年がかりで日本版を完成。その後は香港やタイ、台湾等の海外版も発表し、各国のマニアをうならせている。

「二年前までIT系の会社員だったが、このアプリの開発を機に独立した」という作者。「会社員時代と比べると収入は激減したが、さいたま市から長野県に移住し、妻と二人でのんびりと暮らしている」とのこと。アプリ制作と田舎暮らしという二つのキーワードから、スマホ時代のライフスタイルが見えてくる。

【俺の評価】デジタルなのにどこかアナログなぬくもりを感じさせるアプリ。路線や駅周辺の情報だけでなく、ユーザーが車窓からの風景を楽しめるよう、川や山などの名前が表示されている点も特徴。

●無料/対応OS:iOS、Android/リリース元:TOKYO STUDIO INC.

路線図データは端末にダウンロード可能。海外版は現在6都市を公開中