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人気の揮毫は「百折不撓」「冬夏青青」

 午前中はいくつかのブースに分かれて多くの催しがあった。まずは渡辺三冠、永瀬二冠、木村一基王位によるサイン会。タイトルホルダー3名がそろう姿は壮観である。サイン後の記念撮影もOKで、多くのファンが棋士の横で笑顔を見せていた。木村王位に話を聞くと、もっとも求められた揮毫は「百折不撓」だったそうだが、新しく作った扇子に揮毫した「冬夏青青」を希望するファンも多かったという。

木村一基王位の色紙は「百折不撓」が一番人気だった

 ちなみに「冬夏青青」は中国の戦国時代に著された「荘子」の一節「命を地に受くるもの、ただ松柏のみ独り冬夏に有りて青青たり」という言葉が語源とされており、その意味は「信念が固く、どんなときも変わらない」である。

色紙に揮毫をする永瀬拓矢二冠

爆笑の「杉本八段と山田女流四段トークショー」

 別のブースでは、杉本昌隆八段と山田久美女流四段によるトークショーが行われた。詰将棋が話題になると、杉本八段は「私は詰将棋を作らないことにプライドを持っています」と語り、観客席からは「おおーっ」という喚声があがる。

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 続けて「でも、作る必要が出てきたのでやむなく。作った図面を見た藤井君が『作品を提供しましょうか』とね。プライドにかけても貰うわけにはいかなかったです」と語り、一同は大爆笑。

杉本昌隆八段と山田久美女流四段によるトークショー

 杉本八段は弟子の藤井七段について「実戦、詰将棋を解く、詰将棋を作るという3つでは、実戦が一番不得意なんじゃないかと思う。あれだけ勝っているのに、こう言うのも変ですが」と語った。

 また山田女流四段は前日の控室で、ある棋士が出題した詰将棋を他の棋士が集中して考え込んでいる姿について「詰将棋を解く棋士は、カニを食べる時のようなものです」と語った。

 確かに詰将棋の図面を見ると、ピタッと黙り込んで微動だにしなくなる棋士は多い。そうして最初に解けた棋士が正解を言いたくてウズウズ……何度も繰り返された光景ではある。