「将棋の日」と呼ばれる日付がある。11月17日がそれで、その由来は、江戸時代に行われていた御城将棋が、八代将軍の徳川吉宗(将棋好きとして後世に伝わる)によって、その対局日を11月17日に定められたことにある。
今年は「第45回将棋の日in甲府」を開催
日本将棋連盟は1975年に11月17日を「将棋の日」として定め、それ以降毎年、将棋の日にちなむイベントを行ってきた。
1975年の第1回は当時の蔵前国技館を借り切って行われ、7800人のファンが詰めかけた。当初は国技館では会場が埋まらないだろうという心配もあったというが、その不安を見事に払しょくし、以降は定番のイベントとなった。
さすがに色々な都合もあるため、すべての年で11月17日に将棋の日イベントを行うわけにはいかなくなったが、11月に行われるのは恒例となっている。
今年は11月23、24日に「第45回将棋の日in甲府」として甲府市で行われた。11月21、22日に同市の常磐ホテルで行われた第32期竜王戦七番勝負第4局と合わせて「こうふ将棋ウィーク」と題されている。今年で開府500周年を迎える甲府市の記念イベントだ。
竜王戦第4局「ようやく初日が出ました」
まずは竜王戦第4局から。挑戦者の豊島将之名人が3勝0敗と奪取に王手をかけて迎えた本局だったが、ここでは広瀬章人竜王が意地を見せて1勝を返した。
「ようやく初日が出ました。なかなか厳しい戦いでしたけど、ひとつ勝ててホッとしています。まだまだ苦しい星なので、ひとつずつ返していけたらと思います」と広瀬は語る。昨年同様にフルセットまでもつれ込む激闘を将棋ファンは待ち望んでいるだろう。
控室には翌日からのイベントに参加する棋士が続々と姿を現した。渡辺明三冠や永瀬拓矢二冠といったタイトルホルダーを筆頭に検討の継ぎ盤が囲まれる。その中には藤井聡太七段の姿もあった。藤井が継ぎ盤の前に座ると、一斉に報道のカメラが向く(筆者もその一人だが)。つい先日に自身のタイトル初挑戦を逃したばかりだが、その痛みを感じさせる雰囲気はなく、先輩棋士らとの検討中には時折笑みも浮かべていた。
続いて「第45回将棋の日in甲府」。こちらは甲府市の総合市民会館で行われた。1日目の11月23日、日本将棋連盟会長の佐藤康光九段が開会式であいさつし、スタート。