藤井七段ら棋士による指導対局も
他には佐藤九段とカロリーナ・ステチェンスカ女流1級(甲府大使を務めている)による記念撮影や、藤井七段をはじめとする多数の棋士による指導対局も行われた。
指導対局を終えた藤井七段を報道陣が取り囲んで取材が行われる。「甲府は初めて訪れたのですが、信玄餅を美味しくいただきました。竜王戦第4局は熱戦で、控室での検討も難しいとされましたが、楽しかったです。指導対局は、子供の参加者がぱっぱと指すことが多かったのですが、一手一手じっくり考える子供もいて、感心しました。このようなイベントを通して将棋の魅力を感じてもらえたのがよかったです」と語った。
午後にはNHKによる公開収録が行われた。第1部は「若手棋士10秒将棋勝ち抜き戦」で、まずは中村太地七段と藤井七段による10秒将棋が行われ、その勝者が戸辺誠七段と戦う。こちらでは広瀬竜王と豊島名人の特別出演もあった。
第2部は、渡辺三冠と永瀬二冠による「次の一手名人戦」。対局のところどころで次の一手が出題され、三択問題を会場の参加者が解答していく。勝ち残った方には豪華賞品が贈られる。
「若手棋士10秒将棋勝ち抜き戦」と「次の一手名人戦」の勝者については、12月29日午前10時よりNHKEテレで放送予定の「第45回将棋の日」をご視聴ください。
これまで、そしてこれからの「将棋の日」
今年(2019年)の11月17日はJT杯将棋日本シリーズの決勝戦が幕張メッセにて公開対局で行われ、渡辺三冠が広瀬竜王を下して自身初のJT杯連覇を果たしたが、過去の将棋の日にはどのようなことがあったのかを見ていきたい。
1975年の第1回将棋の日が蔵前国技館で行われたのは前述したとおりだが、この時は第14期十段戦七番勝負第2局、中原誠十段対大山康晴永世王将(段位は当時・以下同)が土俵上で公開された。タイトル戦が大観衆の前で指されたのはこれが初めてだった。
また、1989年11月17日は第2期竜王戦第4局で羽生善治六段が島朗竜王を破った日である。羽生にとってはこれが自身初となるタイトル戦における勝利だった。平成初の将棋の日でタイトル戦初勝利を挙げた羽生が、そのまま平成時代の第一人者となっていったのは、話としてはできすぎている。
令和初となる将棋の日は、渡辺三冠が現役最強を証明した日になったともいえるが、果たして来年の将棋の日には、どのようなことが起こるだろうか。「将棋の日イベント」と合わせて、楽しみに待ちたいと思う。
写真=相崎修司