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 哲学科院卒の編集部員Sが指摘した。

「10種類のおにぎりを同じ数そろえて差し入れるんですから、『手にしたおにぎり』に投票したのでは、結局、みんな同数になってしまうんじゃないですか?」

 なんてこった!

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 鳩首協議の結果、ルールは次のようにあらためられた。

 ――投票は今まさに手にしたおにぎりでもよいし、昨日食べたおにぎりでもよい。「今この瞬間、自分がもっとも推したいおにぎり」、つまり「推しおにぎり」に1票を投じてもらうのだ。

 こうすれば、『シン・エヴァ』スタッフがいちばん推すおにぎり、いわば「シン・オニギリ」が決定できるはずである。

庵野秀明総監督が投票したおにぎりとは?

 いよいよ10月中旬、準備は整った。

『シン・エヴァ』スタッフが働く㈱カラーへのおにぎり差し入れ作戦が始まった。

 近隣のローソンの協力で、店長が毎日おにぎりを50個、100個と配達してくれたのだ。

作戦の模様(カラー提供)

 折しも、巨大な台風19号が襲ってくる中、困難な作戦が繰り広げられた。

 現場からは続々と反応が伝わってきた。

「スタジオ内に並べられたおにぎりの山を前に、当初は戸惑いもありましたが、すぐに『そろそろですかね』と、おにぎりの配達時間を楽しみに待つようになりました」(スタッフ)

 特に夜遅くまで仕事で残っていたり、風雨の激しいときなどに好評だったという。

 おにぎりの味についての感想も寄せられた。

「味がしっかりついていて、脂がのっていておいしい」(焼さけハラミ)
「やっぱりいくらはおいしい。まちがいない」(いくら醬油漬)
「梅は王道」(紀州南高梅)
「シーチキンのおにぎりは苦手だったけどこれは好き」(和風シーチキンマヨネーズ)
「いつもは高価格のものは選ばないから嬉しい」(焼さけハラミ・いくら醬油漬)
「ごはんがおいしい」(全て)

 なんと庵野秀明総監督もおにぎりを手に取り、投票に参加してくれたという。