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 金正恩氏は、米国が喜ぶ方策を知っている。核ミサイル開発は、一面において米国が日韓を支配下に置き、武器売却を後押しすることに貢献する。北朝鮮にすり寄って来る韓国に肘鉄を食わせることも米国の喜ぶところだ。これら北朝鮮の振る舞いは「阿吽の呼吸」というよりも、機密の「米中交渉のテーブル」で密談の上、確立している可能性すらある。

 米国は、北朝鮮制裁を声高に叫びながら、水面下では何らかの救済支援をしているのかもしれない。これまでの世界史を見ればわかるように、国際社会の現実は「小説よりも奇」なのである。

朝鮮半島を安定化させる「クロス承認」

 世界規模で経済戦争を繰り広げる米中の覇権争いは、朝鮮半島を巡り、より熾烈になるだろう。朝鮮半島が一旦バランスを失えば、第二次朝鮮戦争という流血の惨事が起こる可能性もある。今後のありうべき朝鮮半島のバランス回復政策は、韓国と中国との関係改善に歩調を合わせ、米朝関係を改善することであろう。中韓間では1992年8月に国交正常化が図られている。それゆえ米朝間で国交正常化を行えば、いわゆる「クロス承認」が実現することになる。

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香港で人民解放軍部隊を閲兵する習近平国家主席 ©AFLO

 米中覇権争いの中で朝鮮半島を安定化させる方策としては、「クロス承認」が望ましいと筆者は確信する。そうすれば、日韓間の現在の軋轢も緩和され、文在寅の「中朝陣営への逃亡」も防止できるのではないだろうか。

 平昌オリンピックを機に米朝の接触が本格化しつつある。米朝両国は当面の目標として「クロス承認」を目指している可能性がある。「クロス承認」を論議する際は、当然中国も介入するだろう。その際の最大の争点は「北朝鮮の非核化」と「在韓米軍の取り扱い」であろう。

「クロス承認」は半島の分断固定化につながるという批判もあるが、日本にとっては二層(南北朝鮮)のバッファーゾーンが保証されることになる。そうなれば、永年の懸案となっている拉致問題解決にも道筋がつくことになろう。

「文藝春秋」12月号では「『反日種族主義』を追放せよ」と題して、日韓問題の本質に迫る特集を掲載しています。全文は「文藝春秋 電子版」でもお読みいただけます。

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日韓断絶の元凶「反日種族主義」を追放せよ