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海外で稼ぐ日本企業

 いまは皆さん、株なんかに投資したら、お金がなくなるんじゃないかと萎縮しているように見えます。シュリンクがシュリンクを呼んで、どんどん悪い方へ向かっている。しかし、個別の日本企業を見ると、潜在的な実力はかなりあると私は見ています。特に海外で稼ぐ力が強くなっている。

 現在の日本企業の売り上げの割合は、国内と海外では2対1です。海外が飛躍的に伸びている。シンガポールに住んでいると、そのことを実感します。海外で営業や事業をしている日本人がたくさんいます。だから、私は日本企業に関しては非常に期待しています。

 また、日本は人的レベルが高い。このような講演会を開いても、皆さん熱心に聞いてくれる。誰も立ち上がる人はいないし、ケータイが鳴ることもない。海外とは全然違います。

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 私はニッポン放送株をめぐるインサイダー取引の裁判で、お金儲けの権化と言われました。判決には、「安く買って、高く売る。おぞましい」とまで書かれました(笑)。これにはびっくりしました。次の日のウォールストリート・ジャーナルでは「そんな判決が出る日本がおぞましい」と報道されました。私の行為をペナルティだ、とするのは、裁判の結果なら仕方ない。しかし、そういう思想自体が蔓延すると、この国は間違いなく亡びます。

文春オンライン連載のマンガ「生涯投資家」は毎月10日更新

 私は株でお金儲けして、世間的には悪者かもしれません。しかし、そのお金を貯め込むことは一切しません。子どもたちにも残しません。自分のお金は全部、社会に返すことに決めている。そこでチャレンジしているのが、子どもたちへの金銭教育です。

 私は村上財団を通じて、中学・高校生の皆さんに1人あたり最大10万円を渡して、それを元手に株取引を体験してもらうプログラムを実践しています。3000人以上の応募があって、いま500人超が株投資をしています。

 とにかく、若いうちからお金に触れ合ってほしい。失敗してもいいんです。親子でお金儲けやお金との付き合い方について話し合ってほしい。そうすれば、日本はきっとよくなります。

※村上氏を主人公にしたマンガ「生涯投資家」が文春オンラインで連載中です。
https://bunshun.jp/category/murakami

※原作『生涯投資家』(文庫版)が好評発売中です。

生涯投資家 (文春文庫)

村上 世彰

文藝春秋

2019年12月5日 発売