文春オンライン

2019/12/05

噂程度でも反社認定されている

 事業会社や中小企業は自前の審査部門を持つことが難しく、取引銀行に確認したり、信用調査機関、探偵事務所などに「反社チェック」を依頼している。

「警察とのパイプを強調している調査会社もありますが、今は、警察情報は簡単には取れません。調査能力の高いところもありますが、一方で、新聞記事やネットを検索する程度で判断しているところもあります」(信用調査機関担当者)

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 こうしてそれぞれが独自に情報収集して判断した結果、反社の定義は広がり、曖昧になっていった。逮捕歴のある者はもちろん、暴力団や犯罪者との関係が疑われた者、果ては噂程度でも反社認定されている可能性があるという。

 そして定義は曖昧なまま、反社のレッテルが貼られると糾弾される風潮ができた。

一度反社扱いされると、覆すのは難しい

 問題は、反社認定は内々に行われるため、当人には分からないことだ。

「数カ月前、西日本の建設会社の社長が反社だという話が流れ、事業に支障をきたすようになった。一部の記者が取材に動いて、社長は自分が反社扱いされていることを初めて知ったようです。調べると、暴力団との関係を示す根拠は薄弱でしたが、ある地銀は反社認定して融資に応じていませんでした。社長は関わりを否定しましたが、一度反社扱いされると覆すのは難しいでしょう」(同)

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政府として曖昧な定義を出しておいて「定まっていない」?

 前出の大手銀行審査担当者はこう話す。

「警察が暴力団情報を軽々しく出せないのも分かりますが、反社が定義されて以降、現場の審査担当は困っている。警察が銀行や企業に反社情報を提供するという話が出ては消え、遅々として進んでいません」

 菅官房長官の言う通り、現実の反社の定義は曖昧になっている。しかし政府として反社を定義しておいて、官房長官が「定まっていない」と言うのは逃げ口上だろう。その姿勢が反社認定の“乱発”を招き、無実の企業や人物が不利益を被る例も出ている。

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