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魚津水族館の尋常ならざるおみやげ屋さん「真珠コーナー」をレポートする

魚津水族館の尋常ならざるおみやげ屋さん「真珠コーナー」をレポートする

ビジネスよりもロマン。店主が世界中から集めた商品に込めた思いとは

2019/12/06
note

昔の商品がそのまま残っている

――「なぜこれを仕入れたのか」と思うことがありますか?

渡辺 そうですね。当時自分が「いい」と思ったものでも、時間が経てば流行りが変わったり、若者たちとも感性が違ってきたりして、商品が売れ残るんですよね。ここにはそんなものがたくさんあるんです。

――あえてレトロなデザインの商品を仕入れているわけではなく、昔の商品がそのまま残っている、ということですよね。

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渡辺 はい。化石のペンダントだったり黒真珠だったり、色々とね。

天井から床まで、商品でびっしり埋め尽くされている

――仕入れは、渡辺さんお一人でされているんでしょうか?

渡辺 いえ、妻と息子夫婦と一緒に、4人でやっています。私は「若い人がどういうものが好きか」が分からないので、そのへんは息子たちに任せています。私が取引している業者とは違う業者を知っているもので。

息子の良太郎さん 最近は、何周か回ってまた昔のアクセサリーが流行っているみたいなんですよ。

良太郎さんにもご案内いただく

手元にお金があるとなぜかストレスになってしまって

――今「昭和レトロ」といって、すごく人気があるそうですね。大きな真珠や宝石などのパーツをメインにした大ぶりのイヤリングとか、指輪を付けている若い人をよく見ます。

渡辺 あれ、そうなの!

奥様 Twitterで評判を見たとかで、わざわざ九州や東京から足を運んでくれる人もいました。本当にありがたいです。

渡辺 若い頃は「子どもに夢を運ぶんだ」と息巻いて、東南アジアやら色んな国を飛び回って商品を集めてたんです。お客さんからいただいたお金は「預かったもんだ」と思って、そのお金でまた、みなさんに喜んでもらえる商品を仕入れようと。

――素敵です。でも、それって儲からないんじゃ……?

渡辺 そうですね(笑)。でも、手元にお金があるとなぜかストレスになってしまって。だから商品を買ってお金が手元からなくなるとせいせいするというか、まぁ、好きなんでしょうね(笑)。

あまり儲けようとしない渡辺さん

――これは何ですか?

渡辺 三葉虫の化石ですね。知ってました? 三葉虫って、ダンゴムシみたいに丸まるらしいんですよ。

――すごい、知らなかった! 多分、この状態で見つかるのはかなり珍しいですよね?

渡辺 そうですね。「面白いな~」と思って買ったんですよ。化石はたくさん置いていまして、恐竜の卵の化石もありますよ。

丸まった三葉虫の化石

――えっ?

渡辺 昔買ったときはね、お客さんから「まさか~」と馬鹿にされたんですけど、今は時代が進んで「恐竜の卵はどこにでもある」と分かったから、そんなに希少価値があるものでもないんですよ。これを売ってくれた人がお医者さんだったのか、レントゲンを撮ってくれたことがあって。

 この赤い部分がカルシウムらしいんですよ。

――ちなみにこれは、商品ですか?

渡辺 うーん、特に値段は付けていないんですけど、一応「買えますか?」と聞かれれば、お売りすることはできます。うちには昔買った隕石もありますけど、隕石だと、今の価格は「1グラム400円」が相場らしいんですよ。でも、私が買ったときはそんなに高価ではなかったんです。だから、本当に「買いたい」という人には、仕入れた原価でお譲りしたこともあります。

恐竜の卵も売っている。周囲の商品と比較しても、かなり大きい