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魚津水族館の尋常ならざるおみやげ屋さん「真珠コーナー」をレポートする

ビジネスよりもロマン。店主が世界中から集めた商品に込めた思いとは

2019/12/06

「魚津水族館のおみやげ屋さん、やばいから行ってほしい!」

 友人からメールが届いた。やばいおみやげ屋さん? 何がどうやばいのだろうか。

 ここは富山県魚津市が誇る観光名所「魚津水族館」に隣接する「魚津丸キッチン」。その日の午前中、私は魚津漁協のはからいで「かご漁」を体験させてもらった。その名の通りカゴを使った漁で、中に餌を入れた状態で沖に沈めておいた仕掛けを、船の上から引っぱり揚げていく。その獲物である大きなカサゴやマダコをさばいている最中に、友人から連絡が入った。

海に沈めていたカゴを引き上げると……大漁だった!

商品の一つひとつに注意深く目を凝らしてみると

 魚津丸キッチンから出てあたりを見渡すと、すぐ隣に「真珠コーナー」という名のおみやげ屋さんがあった。外観を見るかぎりでは「昔ながらのおみやげ屋さん」というだけで、特にやばそうな雰囲気はない。

1階が「真珠コーナー」。何がそんなにやばい?

 扉を開けると、中から「いらっしゃいませ」と声が聞こえた。どうやら、ご夫婦で切り盛りしているようだ。店内は思っていたよりもかなり広いが、いたるところに商品が所狭しと並んでいる。

「やけに品数が多いな……」とは思ったものの、友人が「やばい」という理由はまだ分からない。

圧倒される陳列棚

 しかし、商品の一つひとつに注意深く目を凝らしてみると、あることに気が付いた。

「何でこんなものがここにあるんだろう」

 店内には、水族館のおみやげとしては定番のぬいぐるみやキーホルダー、ボールペンはもちろんのこと、化石や天然石に、盆栽を模した手作りの置物、果てには水族館にまったく関係のない隕石まで、とにかく、何でもあった。おそらく日本中を探しても、少なくとも商品数において「真珠コーナー」を上回る土産物店がないのは、ほぼ間違いないだろう。

 だが、果たしてこれが「やばい」の答えなのだろうか。

 どうしてここまでバリエーション豊かな商品を集めるにいたったのか、店主の渡辺哲さんにお話をうかがった。

「真珠コーナー」店主の渡辺哲さん

商品数は把握できていません(笑)

――店内をざっと見て回りましたが、1時間や2時間ではすべて見ることができないほど商品がありますね。今現在、どれくらいの品数があるのですか?

渡辺 実は、私たちももう把握できていないんです(笑)。「真珠コーナー」は昭和56年に魚津水族館がリニューアルオープンした10年前くらいからあるので、もう50年近くですね。あれやこれやと仕入れているうちに、いつの間にかすごい数になってしまって。

 初めはね、真珠屋、いわゆるアクセサリー屋だったんです。だから「真珠コーナー」。そのへんにパーツがたくさんあるでしょう。パーツを買ってきて、アクセサリーを手作りして売ったりしてね。

もともとは真珠やアクセサリーを売っていた。当時をしのばせる一角

――貝殻や天然石のアクセサリーがたくさんありますが、あれも手作りですか?

渡辺 もちろん既製品を仕入れたものもありますけれど、手作りのものもありますよ。ああいう商品を見ているとね、「昔、自分は何を思っていたのか」と思うこともあって。