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 事実、私が複数のデモ支持派の香港人の友人にMVのリンクを送ってみたところ、軒並み大好評で、「ありがとうさユりさん」という感謝の声まで返ってきた。本件を報じた香港メディアの『香港01』の記事も、現在の香港の状況にぴったりの歌詞に「鳥肌が立った」と感想を書いている。

なんとYouTube、Apple Musicからも削除される

 そして、話はこれだけでは終わらない。中国国内の動画サイト『bilibili』に転載されていた「航海の唄」のMVが間もなく削除されたのだ。

……もっとも、中国のネット表現規制は極めて厳しく、当局にとって少しでも都合の悪い(と誤解させる可能性のある)メッセージを含むコンテンツはすぐに削除される。『bilibili』からのMVの削除は、中国なら当たり前のこと。「想定の範囲内」の話である。

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 ただ、問題は削除が中国国内の動画サイトだけにとどまらなかったことだ。なんと11月29日ごろまでに、YouTubeやApple Musicで公開されていた「航海の唄」のフルバージョンのMVまで、なぜか次々と見られなくなったのである。

 ※さユりの公式YouTubeチャンネル上で配信されている「航海の唄」MVのショートヴァージョンの動画コメント欄には、香港人と思しきネットユーザーからのコメントが多数書き込まれている。「光復香港 時代革命」などデモのスローガンを書く人や、フルヴァージョンの削除を悲しむ投稿をおこなう人も少なくない。

 本来は販促の目的で公開されているであろうYouTubeプレミア公開が、楽曲のリリースから2日足らずで閉じられるのは明らかに不自然な現象だと言っていい。

 現在、「航海の唄」のMVは、香港デモの記者会見に似たシーンなどがある後半部分をカットしたショートヴァージョンだけが、さユりの公式Youtubeチャンネル酸欠少女 さユり(Sanketsu-girl Sayuri)でのみ公開される状態になっている。

世界配信を前にした「大人の判断」?

 このYouTubeとApple musicからのMV削除の理由について、筆者は文春オンライン編集部を通じて「航海の唄」のリリースに関わったレコード会社のソニー・ミュージックレーベルズの社内レーベル・アリオラジャパンに問い合わせてみたのだが、期日までに回答は得られなかった。

 

 ただ、今回話題になったさユりの「航海の唄」は、11月29日からソニー・ミュージックマスターワークス傘下のミランレコーズを通じて全世界配信がおこなわれることになっていた。MVのフルヴァージョンがネットから消えた理由として、中国の国内市場や、欧米やオセアニアに存在する巨大な華人マーケットからの反発を避ける目的ゆえの「大人の判断」が下された可能性は否定できないだろう。