──いま、予約が取れない料理店が東京だけでなく全国にひろがっています。なかには2年、3年先までいっぱいだったり、紹介者が同伴じゃないといけないなど、どんどんエスカレートしているように思います。その前提として、予約が取れない店ってどのくらいあるのでしょうか……。美食アプリ「テリヤキ」をプロデュースする堀江貴文さん、メディアプロデューサーの大木淳夫さん、モデルで食べログ「グルメ著名人」の斉藤アリスさんに語ってもらいました。
堀江 その話をする前に僕は言いたいことがあって、予約が取れないと言われている店にも、物理的に取れない店と努力すれば取れる店の2種類があるんです。
大木 たしかにそうですね。浅草の鴨料理「鷹匠 壽」のような、どんなに努力しても紹介者がいないと、しかもその紹介者と一緒に入らないといけない店は、行きたくてもどうしようもないですよね。
堀江 そう。でも、その一方で、正規の手続きを踏んでしかるべきときに予約を頑張れば、取れる可能性のある店もあります。もっとも、2年先まで取る店とか、3ヶ月先までしか取らない店とか、予約に関してすごくめんどくさいプロトコルがあるんですが、それさえ守れば入れる店はあるんですよね。
――そうですね。目黒の焼鳥「鳥しき」は毎月最初の営業日に予約を受け付けていますが、友人はiPhoneと固定電話を3時間かけ続けてようやく取ったと言っていました。阿佐ヶ谷の焼肉「SATOブリアン」も平均300回以上かけて、ようやくつながるかどうかだと聞きました。
大木 問題は予約が取れない店がなんでこんなに多くなったのかですよね。おいしいというのが大前提ですが、そういう店はまず、席数が少ないという点が大きいと思いますね。
特にお鮨屋さんに多いのですが、カウンターだけで10席程度しかないから、人気になるとすぐ予約が取れなくなりますよね。亀戸のイタリアン「メゼババ」もそうですね。しかもそこに行った人が、どれだけ先でもまた次の予約を必ず取るから結果として、入れなくなる。たとえばひとりが予約して3人でいったとしますよね。人気の店だから、ほかの2人も予約をしたいということになると、ねずみ算的に増えるわけです。しかも彼らはまず借り切って、あとからメンバーを集めたりしますからね。そうするとますます取れなくなる。
堀江 僕なんか忙しすぎて半年後のレストランの予約なんて絶対したくないんだけど、みんな平気でするんだよね。
先日も「チウネ」という、岐阜の有名な高級中華料理店「開花亭」の息子さんが銀座に出した予約困難な店に予約を取ってもらったんで行ったんです。もちろんおいしかったし、すごく工夫を凝らした料理だったんですが、カウンターの3組のうち、他の2組は速攻で次の予約を取っていたんですが、僕だけが取らなかったんですね。そうしたら「今日予約取ってくれないのは堀江さんだけですよ」って冗談で嫌味言われた(笑)。僕からしたら、そういうスタンスだからしょうがないじゃん、みたいな(笑)。
斉藤 そもそも2年後、3年後に予約取っても、その日に行けなくなっちゃったらどうするんですか?
堀江 どうしても行けなくなったら、代わりに行ってくれる人を探して代役を頼むんです。
大木 それが暗黙のルールなんですよ。
斉藤 へエーっ。