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「予約の取れない料理店」をありがたがる小金持ちの事情

「予約の取れない料理店」をありがたがる小金持ちの事情

「予約の取れない料理店」の予約を手に入れるとっておきの方法 #1

note

人気店のドタキャン対策とは?

大木 でも店のほうもようやく、いまは人気だけど、ずっと同じ人ばかり予約を取って、その人たちが来なくなったらどうするんだろうという危機感が出てきましたよ。だから、青山の寿司「海味」は1カ月先までしか予約を取らないし、千駄ヶ谷のフランス料理「シンシア」も2カ月先までしか取らない。こういうポリシーは好感が持てますよね。

堀江 もともと、2年後なんて、自分がどうなってるかわかんないし、逆に2年後、3年後でも行きたいと思う店っていうのは、進化している店じゃないですか。進化が止まっちゃった店には行きたくないけれど、店だってどうなってるかわからない。

大木 なるほど。あと、店主の意向であえて予約を取りにくくしているお店もありますね。つまり、予約しても、その後キャンセルする人がたくさんいることに嫌気が差して、信頼できる知り合いしか予約を取らなくなっている店。四の橋にある焼肉店「金竜山」とかメゼババ、新橋の割烹「新ばし 星野も恐らくそうだと思います。

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青山「海味」は一ヶ月先までしか予約を取らない

堀江 メゼババは完全にそうですね。ドタキャンする悪い客って結構いますからね。

斉藤 それをやられたら、店側はたまらないですよね。

大木 客のほうに想像力が足りないんですよ。10席しかない店でドタキャンしたら、仕込んでいた食材なんかで、どれだけお店が損害を被るのかがわかってない。

堀江 食べログなどで簡単においしい店が見つけられるようになったことも、被害拡大の1つの要因ですよね。例えば食べログで4.0以上の店のコンプリートを目指している「食べログ4.0以上店ホッパー」みたいな人は、例えば金曜日に4人で飲みに行きたいとなった時、とりあえず予約が取れそうな店から取っていく。

 それで会食の前日、ダメ元で予約の取りにくい店に電話してみたらたまたまドタキャンが出て取れたら、最初に予約を取った店をドタキャンする。こういうひどい人が結構いるんですよ。

斉藤 キャンセル料は払わなくていいんですか?

堀江 だって取り立てようがないじゃん。それに「食べログ4.0以上店ホッパー」は店に1回しか行かないし、しかも美味しいと思ったとしても、「ちょっとチクリとした辛口コメントも書くのが食べログレビュアーなんだ」みたいなよくわからない矜持があって、悪いことを必ず書く。いいじゃん、褒めっぱなしでね(笑)。

大木 そういう客がいるから、店側も客を絞り込んでいるんですよね。総武線方面には電話にはいっさい出ない、直接行って予約しようとしても断られる店もあるんですよ。

堀江 西麻布にある隠れ家ワインバーなんてもっとすごいですよ。料理だけで10万円は下らない恐ろしく高い店なんですが、オープンして一番最初に来た客から数十人までしか会員になれなかったんです。しかも、その会員本人か、会員が一緒に連れてく客しか入れないの。

大木 店からすれば、儲かっているのであれば、会員を増やさなくてもいいわけですからね。

斉藤 その会員になっているってこと自体に別の意味があるんですかね。

堀江 その店に限って言えば、会員であることはステイタスですよね。ゴルフで言えばオーガスタの会員権を持っているみたいな。