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2人の息子たちを抱えて最初の夫が突然死 なぜそれでも、「人生」は生きるに値するのか

末盛千枝子インタビュー #1

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最初の夫、末盛憲彦さんのこと

 彫刻家の舟越保武さんの長女である末盛千枝子さんは、大学卒業後、至光社で海外版の絵本の編集の仕事を続け、30歳の時に友人からの紹介で、最初の夫となる男性と知り合う。NHKの人気番組「夢であいましょう」「ステージ101」のほか多くの名番組を手がけたテレビディレクターの末盛憲彦さんだ。結婚から11年後、息子たちが8歳と6歳だった1983年の夏、当時は代々木にあった自宅の廊下で憲彦さんが倒れ、突然死を迎えてしまう。

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――昨夜、メールでお送りいただいた島多代さん(※1)の「末盛千枝子の仕事について」という文章(『人生に大切なことはすべて絵本から教わった』収録)を新幹線の中で読み返していました。

末盛 ある講演会のために色々な資料を調べているなかで、2年前に亡くなった彼女が「こんなことを書いてくれていたんだ」と思って、今頃になって改めて感謝しているんです。彼女がいなければ、上皇后さまにお目にかかることもなかったでしょうし、IBBY(※2)に参加することもなかったと思うんだけど。

※1 絵本や児童書の研究家。元IBBY会長。美智子さまの大学の後輩で、各国児童書関係者やIBBYとの関わりを支えた関係者の一人。
※2 国際児童図書評議会。本部をスイスのバーゼルに置く。末盛さんは、2002年から4年間はIBBYの国際理事をつとめ、2014年のメキシコ大会で名誉会員に選ばれた。

 

――〈末盛千枝子の仕事はいつも何処からか彼女のもとに飛んでくるのです〉と書かれていました。

末盛 その中のいくつかは、島さんから(笑)。国際アンデルセン賞に選ばれることになったまど・みちおさんの「ぞうさん」などの英訳を上皇后さまにお願いするということを、私はとてもじゃないけど思いつかないから。

父・舟越保武さん作の「チエコ」。小学3年生頃の末盛さん像