1990年、日本人が初めて宇宙に飛び立ってから約30年。これまでで合計12人の日本人が宇宙飛行を経験し、地球をこの星の「外」から眺めてきた。歴代すべての日本人宇宙飛行士への取材を行い、彼らの体験を1冊にまとめた『宇宙から帰ってきた日本人』が発売中だ。その中から印象深かった “宇宙” の姿を公開!

◆ ◆ ◆

4度の宇宙飛行を体験

 1992年に宇宙飛行士候補となった若田は、これまでに4度の宇宙飛行を体験してきた。1996年のスペースシャトル・エンデバー号でのミッションを振り出しに、2000年にはディスカバリー号、2009年には国際宇宙ステーション(ISS)に日本人として初めて長期滞在し、「きぼう」の組み立てにかかわった。また、2013年からの4度目のミッションでは、日本人初のコマンダーも務めた。1963年生まれの若田は取材時に55歳、その宇宙滞在期間は計347日にものぼる。現在、最も長く宇宙に滞在した日本人である。

ADVERTISEMENT

「4度目のフライトで私は188日間、ISSに滞在しました。188日間というと、地球を3000周くらいするんですね。そうすると、地球は小さいと思うようになった。そして、そのように小さなかけがえのない故郷を守ることが、我々の大きな課題であることを実感として理解できるようになった。僕は地球を見ながら、つくづくこう思いました。我々は本当にラッキーだ。このような美しい水の惑星を故郷と呼べるということが、こうした環境をもらえたことが、どれほど小さな可能性であったか。それは宇宙に行って帰ってくることで、自分の最も変化した地球に対する愛おしさの感覚でした」

 若田は4度の宇宙体験を経て、そのように小さくかけがえのない地球に生きる自分たちには、その環境を守る責任があるという確信を得たと続けた。例えば短期ミッションと異なり、3度目と4度目の長期ミッションでは、週末など余暇の時間もありじっくり地球を見る余裕があった。長く宇宙にいて素晴らしいのは、地球の季節の変化が分かることだった。

上空400キロメートルから見た「地球の美しさ」

宇宙から見た「カナダ上空のオーロラのカーテン」(出典:若田光一氏のTwitterより/https://twitter.com/Astro_Wakata/status/404263265951170560?s=20)

 秋から冬、冬から春、春から夏。南半球と北半球のどこに白い雪があるか、どの場所の水に氷が張り、緑が生い茂っているか。太陽の黒点活動の強弱によってオーロラの生じ方も変化する。それぞれのフライトごとに、若田の目に映る地球の表情は異なっていた。