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多くの場合は「特発性」で原因不明

 血精液症で原因が見つかる確率は36~52%とされ、多くの場合は「特発性」といって“原因不明”とされる。原因不明と聞くと不安にもなるが、実際には特に治療をしなくても自然に治っていくという。

 もちろん、がんによって出血しているケースも捨てきれない。小路医師によると、血精液症で検査をすると、約2%の確率でがんが見つかることがあるという。

 ただ、前立腺がんであればPSA,精嚢(精液を作る器官)のがんであればCA125という腫瘍マーカーが反応することが多い。Yさんの場合は血液検査でこれらの病気も否定されているのでひと安心、ということのようだ。

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 病院の帰りに薬局に寄って、処方された止血剤をもらって帰宅したYさん。

「とりあえず大丈夫そうだよ」

 と告げると、奥さんは即座にこう答えた。

「私には影響はないの?」

感染症でなければ「異常なし」「赤ちゃんにも影響なし」

 自分のことで頭がいっぱいだったYさんは、妻のことまで考えていなかった。この手のことが夫婦間の問題の発端となることは、読者諸賢周知の通り。

 そこで、小路医師に代わって答えてもらおう。

「もし男性が感染症を持っている場合は、その血液が女性の傷口などに入り込めば感染する危険性はあります。ただ、Yさんの場合は感染症はなかったようなので、その点は安心していいでしょう。ちなみに、Yさんは避妊をされていたようですが、そうでない場合は、たとえ精液に血液が混じっていても精子に異常がなければ妊娠する可能性はあります。ただ、血液の混じった精液から妊娠したとしても、それが原因で生まれてくる赤ちゃんに影響が出ることは考えにくい」

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 1カ月後に再診を受け、「異常なし」と言われたYさん。しかし、赤い精液を見た衝撃は大きかったようで、「その後はお互いに及び腰になっている」という。

 でもね、本当のところは分かりません。奥さんは自分の心配をしてくれなかった亭主に愛想をつかしている、と考えるのが妥当だと思いますよ。