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捏造してでも実績を積み上げる人が生き残りやすい仕組み

 そのなれの果てが、同じくノーベル賞受賞者の野依良治さんが率いていたはずの理研で勃発したおぼちゃんこと小保方晴子さんの一連の捏造事件であり、さらに、それ以上の捏造事件が日本の研究機関で横行し、海外からも問題視されてしまう事態にまでなっています。日本人の研究者全員がそこまで気安く捏造を繰り返すわけではありませんが、捏造によって研究業績が頭一つ出ないと次の研究費が貰えない仕組みになっている以上、捏造してでも実績を積み上げられる人が生き残りやすい仕組みになっているのが、日本の学術・研究界の悲しい現実の一端ではないかと思います。

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 結果として、相応に能力を認められた研究者でも、ワープアも同然のポスドクで貴重な20代からアラサーをぼんやり過ごし、研究体制での不安定な雇用で家庭を持つことも充分な研究もできずにいます。これはとても悲しいことだと思うんですよ。

国庫から出る研究開発予算はどれほどなのか

 そして、日本の論文数が世界に比べて伸び悩み、価値のある研究がなかなか生まれない現象は、単に山中さんの研究ひとつ切るのとは訳が違うぐらい、全体のシステムの問題であることが分かります。だから、困っているのは日本の教育であり研究者であり、それはひいては資源のない我が国が生きていくために必要な外貨をどう稼ぐのかであって、突き詰めれば人口減少しても豊かな国であり続けるために必要なことのひとつが「学術的な研究開発の奨励」であることは言うまでもありません。

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 もちろん、そっちにカネを回そうとすると今度は「ではその財源はどこから出てくるのか」という話になります。今年はうっかり消費税を上げてしまい景気が低迷し始めているのもあって、税収が2兆円ぐらい足りなさそうだということで早速国債が増発され、また大型補正予算は真水で10兆円オーバーだという話も出ています。でもさあ、我が国が支出する科研費は2,154億円ぐらいなんですよね。これに、新エネルギー・産業技術開発機構(NEDO)その他分野別助成もあるんですけど、国庫から出ていく真水の研究開発予算なんて全部合わせても2兆円もいかないぐらいなんじゃないでしょうか。

あまりカネをつけず、現場のケツだけ叩いて「頑張ろう」って…

 大学入試改革で民間英語試験があれだけ騒がれ、また、子どもの教育の振興でPISAの国際ランキングが上がったの下がったのと騒ぐ割に、あまりおカネをつけず、現場のケツだけ叩いて頑張ろうと言ってもまあなかなかむつかしい世の中になっているんじゃないですか。

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 別に中国と比較したいわけではありませんが、中国の都市部では小学校2年生や4年生ぐらいから、人工知能の開発に向いているプログラム言語「Python」が必修になっているぐらいの状況で、我が国は何をしているんだろうと、私も我が子の宿題を面倒見ながら毎日思い悩んでおります。

 研究開発ですら夢の見られない現状で、ほんとどうするんでしょうか。

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