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 昨今、『オプジーボ』など超絶に高額だが特効的な医薬品が続出している現状はありますけれども、これらは医薬開発の研究費高騰が大きな要因であることは間違いありません。最近保険適用になった白血病の新薬『キムリア』が1回当たり3,300万円、肺がん特効薬である『オプジーボ』が年間概ね1,000万円であり、もちろんだんだん薬価は下がっていくとは思うんですけれども、個人の負担では当然大変な額です。

iPS細胞の研究は、これから千億円単位かかる

 保険医療では高額医療費は個人負担の最大額は決まっていますけれども、逆に言えば皆さんの保険料でこれらの高額のお薬代が賄われることになります。保険制度ばんざい。しかし、なんかもう「命の値段」って現実を突き付けられる気分になります。物語でよく難病に苦しむお母さんを助けたいけど薬が高すぎて買えないので盗賊になる息子の話が出てきますが、まあそういうことですよね。

 で、鳥集徹さんがこの問題について昨年記事を書いておられますが、この内容は紛れもなく事実であります。これからマウス実験が概ね終わり、iPS細胞による治験を始めるために品質を安定させるためにどうするかというフェイズにようやく入った山中伸弥先生やその周辺のiPS細胞研究は実用化が進むまで、打ち切られると議論になった備蓄事業を含めて、これから千億円単位で費用が間違いなく掛かります。これはこれで大変なことです。

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「iPS細胞」過剰な期待を煽る報道を“やめるべき”事情
https://bunshun.jp/articles/-/9799

結果が出る前に「やっぱやーめた」

 また、産経新聞やブログでも問題を指摘したところ、大変多くのご賛同を頂戴したテーマなので、ぜひ深掘りして皆さんに知っていただきたいと思うんですよね。

【新聞に喝!】投資家・山本一郎 iPS備蓄「打ち切り」 研究現場の困窮に目を
https://www.sankei.com/column/news/191208/clm1912080006-n1.html

山中伸弥さんのiPS細胞研究所の一部事業助成打ち切り報道について - やまもといちろう 公式ブログ
https://lineblog.me/yamamotoichiro/archives/13241722.html

 いまでこそ、研究開発は「技術立国」日本の根幹と言いつつ、実際には資金が潤沢にある輸出産業などの民間企業が独自にやっているものが多く、日本に留まって研究しているというよりは海外の研究者も雇いながら柔軟に行っているケースばかりが目立ちます。日本が国として研究開発を奨励しようにも、今回の山中さんのようなことはかなり頻繁に起きてしまうのが実情です。

「やりましょう!!」と政治がリーダーシップを取っても、途中で「ずいぶんカネがかかるぞ」「成果はまだ出ないのか」「なんかおかしいな」となり、結果が出る前に「やっぱやーめた」と言われてしまうという。見切るのはえーよ。

©iStock.com

 ただ、前述の通りそもそも製薬というものはカネがかかりますし、それを国が補助金を出し日本発の優れた技術として基礎研究を進め実用化を目指すという話なので、NewsPicksが文句をいう金額の100倍は投入しないといけませんし、それでも、いかに山中さんが優れているとしても開発に必ず成功するかも分かりません。