Q 池上さん、マスコミってまだまだ男社会ですよね?

 最近、大手新聞社で、女性初の社会部長、政治部長が誕生するということがニュースになっていました。池上さんが記者をされていた頃と比べて、マスコミの「女性進出」は進んでいると感じますか? 私にはマスコミの女性活躍は遅すぎるくらいに思えます(笑)。(34歳・女・記者)

A はい、おっしゃる通りです。

 マスコミでの女性の進出・活躍は、まだまだ遅れていると思います。私がNHKの記者になった時代は、NHKに女性記者は存在していませんでした。女性記者が採用されるのは、男女雇用機会均等法が施行されてからでした。

 他の放送局、新聞社にも女性の姿はほとんどありませんでした。

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 それが、やっと女性の姿を見かけるようになりました。おしなべて優秀な人たちばかり。これにより、ニュースの内容にも変化が見られるようになったと思います。

 たとえば東京都議会の男性議員による下品なヤジが問題になった件。ああいうヤジは、昔からありました。でも、取材している記者たちはみんな男性で、女性観は男性議員と大差ないようなレベル。誰も問題にしなかったのです。

 それが、都庁の記者クラブに女性記者たちが増えてきて、女性を蔑視するヤジに敏感に反応。大きなニュースになったのだと思います。

 保育所不足が問題になったのも、ネットに投稿した女性がいたから。女性が、以前より活躍できるようになったことによって、活躍できない場面が多数あることが判明した。それがいまの状況なのではないかと思います。

 ちなみに、このコラムを担当する文藝春秋の編集者も女性です。テキパキとした仕事ぶりに刮目させられています。

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