『職場の問題地図 「で、どこから変える?」
残業だらけ・休めない働き方』(沢渡あまね 著)

 ワークライフバランス。近年、急速に存在感を増した言葉だが、実現している人や会社はどれほどか。著者は日産自動車などの大手企業に勤めたのち、経験を活かして業務改善・オフィスコミュニケーション改善士に転身。残業だらけの社会に一石を投じてきた。本書もその活動の一環で、特色はタイトルにもある「問題地図」だ。本の冒頭に挟まれた地図を見れば、問題の因果関係が一目瞭然。たとえば〈だれが何をやっているのかわからない〉という問題には〈会話がない〉〈「自分のやり方が正しい」という思い込み〉といった項目に矢印が繋がっている。

「『地図』は著者のコンサルティング活動で実際に使われて来たもの。つまり、現場で叩き上げられて育ってきたアイデアなんです」(担当編集者の傳智之さん)

 濃い情報量と読みやすさの両立で、堅実に売れ行きを伸ばしてきた。

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「20代、30代を主な読者と想定していたのですが、タイトルのせいか、刊行直後は書店では総務や人事の方向けの本の棚に置かれてしまって(笑)。でもおかげで人事の専門誌などで取り上げられ、初速に弾みがつきました。結果的にはよかったです」(傳さん)

 刊行と同時期に、電通の過労死問題が大きく取り沙汰されたことも売れ行きに影響した。3月にはプロジェクトマネジメントのノウハウを説いた第2弾『仕事の問題地図』も刊行。2冊合計部数は10万部を超える。

2016年10月発売。初版5000部。現在11刷5万6000部