「韓国人の若者のほとんどが、大手ポータルサイトを通じてニュースを読んでいます。韓国の言論そのものを支配しているとも言われる『NAVER』をはじめとしたポータルサイトに記事が掲載されると、それぞれの記事に読者がコメントを付けられる。そのコメントがまたネタになるのです。
アイドルの書き込みが、暗いネガティブな内容だったり、過激な発言だったりすると、アクセス数が伸び、膨大なコメントが書き込まれる。そこでネットメディアは、そのコメントの中から、批判的で最も激しいものを選び出し、『コメントを紹介して、アイドルを批判する記事』を仕立てて拡散するのです。ソルリやク・ハラも、この手の記事で標的にされていました」(河記者)
韓国のネット用語で、日本でも知られるようになったのが「悪プル」という言葉だ。「悪+Reply(返信)」を意味する造語で、悪意のあるネット意見のこと。この酷い言葉で綴られた「悪プル」が、ネット記事となって芸能人たちを苦しめているのだ。
韓流アイドルは、なぜSNSで心情を吐露するのか
日本に比べて、アイドルが積極的に心情や体調をSNSに投稿するのも、韓国ならではの特徴だ。
今年に入ってからも、少女時代のテヨンは、SNSで今年6月に『うつ病なの。抗うつ剤治療中です』と投稿、歌手のヒョナも11月にSNSでうつ病とパニック障害を告白した。12月に入っても、歌手のカン・ダニエルが、『悪プル』によりうつ病とパニック障害を告白し活動を休止している。11月、来年5月に日本でドームツアーが決っているSEVENTEENのリーダー・エスクプスが心理的不安を訴えて活動休止している。
これらの更新の度に、ポータルサイトでは記事が溢れ、心無い書き込みが殺到することになる。ネットメディの標的になるリスクがありながら韓国スターが自身のSNSでプライベートな心情を告白する背景には何があるのか。在韓ジャーナリストの朴承珉氏は次のように語る。
「元々、日本人に比べて韓国人は思っていることをストレートに表現する傾向がある。ですからSNSでプライベートを告白するのは、自分を愛してくれるファンにわかってほしいという思いからでしょう。ネットの影響力が強い韓国だからこそ、SNSという手段を選ぶ。ところが、大手ポータルサイトに記事が出ると、その威力を知っているだけに、ひとつひとつ敏感に受け止める。マイナスの記事となれば自分のプライドを傷つけられ、本人にとってはショックが大きいのです」