今週の文春は、のんV2(のんとしては初)となる「『好きな俳優』『嫌いな俳優』2017」など、多彩な記事が誌面を飾る「春の特大号」。特集には安倍昭恵と稲田朋美のふたりが登場し、花を添える。

「週刊文春」4月6日 春の特大号

「会えばわかる」“スーパー私人”の昭恵夫人

「安倍昭恵夫人“神ってる”破壊力」では、話題の元秘書、スピリチュアル、お嬢様ゆえの“性善説ネットワーク”など昭恵氏をとりまく諸問題を伝えている。

 元秘書というのは谷査恵子さん。先週の森友学園・籠池理事長の証人喚問で、理事長が隠し玉として明らかにしたFAXの送り主である。記事によれば、「東大卒ですが『管理職になりたくない。現場に近い所で働き続けたい』という理由でノンキャリア試験を受験」し、経産省に入省したという。

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 そんな谷さんが昭恵氏の秘書になったのは安倍内閣が誕生してから早々、2013年のこと。秘書さがしでは、首相秘書官が「仕事は多忙を極めるため、独身が望ましい」との条件で省庁に声がけしたという。なんだか私生活を省みることなく、滅私奉公できるひとを、と言っているようにも取れる求人である。

 実際、土日も関係なく昭恵氏の活動に随行し、遅くまで酒につきあうこともあったという。そこまでしてくれた谷さんなのに、「FAXの件で『谷さんが気の毒では』と問われた安倍首相は『彼女は真面目だから』と他人事のように語っていた」と記事にある。

©getty

 話題の石井妙子「安倍昭恵『家庭内野党』の真実」(文藝春秋3月号)によれば、昭恵氏は「会えばわかり合える」が持論で、おまけにFacebookにメッセージがくると、「二度、三度やり取りをして、『今度、会いましょう』と語りかけ、首相公邸で面会することがあるという」。なもんで、反安倍のミュージシャンや元暴力団組長との付き合いが報じられるほど、交際範囲がひろい。

 そんな清濁併せ呑む器量にくわえて、ひとを惹きつける力も強いのだろう。くだんの谷さんは秘書の職から離れてからも昭恵氏のイベントに顔をみせているのが目撃されている。義理もあろうが、友人に近い関係になったのかもしれない。

 石井妙子は昭恵氏本人を取材したうえで、こう書いている。「本能的にどう振る舞ったら好感を持たれるのか、人に好かれるのかを熟知し、権力という一種の魔力の扱いに、感覚的にたけているようにも感じる」。“スーパー私人”との呼び声も聞こえてくる昭恵氏だが、夫以上に政治を熟知しているようである。

チロルチョコで巻き込む人、稲田朋美

 ひとを呼び込むのが昭恵氏ならば、ひとを巻き込んでしまうのが稲田朋美だ。

「稲田朋美『右翼人脈』と『怪しい政治資金』」には、米国のマティス国防長官が来日した際、バレンタインデーの前日ということもあって、稲田朋美は夕食会の席で「自らの写真入りのチロルチョコを箱詰めでプレゼント」した逸話が紹介されている。

「自らの写真入りのチロルチョコ」か。そういえば「ともみの酒」なんてのもあった。週刊新潮はそれを報じた記事(2015年4月9日号)で、稲田朋美の夫との法廷闘争に突入するのだが、その記事ってのは、タイトルがふるっていて……。

〈「政調会長」記者会見ではウソをつき通して恥じず!/弁護士バカの夫は記事を見ないで「裁判!裁判!」/「ともみの酒」は無免許の販売業者から購入!/「選挙民に日本酒贈呈」をない事にした「稲田朋美」政調会長〉

 韻を踏んでまではいないが、見事なリリックである。節をつけてカラオケで歌えば、「裁判!裁判!」のところでマラカスを振りたくなるに違いない。

©石川啓次/文藝春秋

いかにも「週刊実話」な稲田朋美記事はこちら

 さらにここにきて籠池一家の騒動に絡んでいることもあり、週刊誌各誌は稲田朋美の多彩な企画で百花繚乱に。たとえば女性自身(4月4日号)は「『オシャレが好きなダサい人』!」と題してカラーグラビアでファッションチェック。週刊実話(4月6日号)にいたってはヌード観測の記事を掲載する。

「稲田氏は出たがりで、多数の出版社と付き合いもある。当然、出版社側は議員辞職を想定し、写真集出版をラブコールするはず。内容はもちろんヌード。“懺悔”の意味も含めて、剃毛&開脚もアリでしょう」(写真集編集者)。

 さすが週刊実話、もはや芸の域である。

「週刊文春」の「2016 日本を明るくする美女」より ©橋本篤/文藝春秋

 そして文春。町山智浩の連載「言霊USA」の澤井健による挿絵は批評性の高さで評判だが、今週号は稲田朋美を描いているので、是非、週刊文春本誌を手にとってご覧いただきたい。