昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

2019/12/23

genre : ライフ, 社会, 企業

日本人のエンゲージメントと生産性は低い

 職場のコミュニケーションの良し悪しは企業の生産性に直結するが、日本企業は、これまで、社員間コミュニケーションの重要性をあまり認識してこなかった。企業や職場に対する日本人社員のエンゲージメント(貢献意識、やる気、コミットメント)の数値は世界の中でもとびぬけて低く、生産性も先進国一低い。

 挨拶や、ちょっとした会話など、スモールトーク、いわゆる雑談力を鍛える格好の場でもあるエレベータでなぜか、「私語厳禁」ルールがまかり通るのがこの国なのである。上意下達的な指令か、もしくは部下が上司に「報告・連絡・相談(ほうれんそう)すべし」というような極めて儀礼的で一方通行のコミュニケーションが主流で、血の通い合う、心がつながるコミュニケーションが十分に行われているとは言い難い。

©iStock.com

 かつては、家族主義的な関係性の中で、社員は身内同様の存在として、団結心、チームワークを担保していたわけだが、社員の多様化が進み、会社が単なる働く場、つまり自分の「外の世界」となり、これまでのようなコミュニケーションスタイルは通用しなくなっている。にもかかわらず、金をかけてその意思疎通を活性化しようなどと取り組む企業は、特に大企業ほど少ない。最近では、ネットを活用した様々なコミュニケーションツールが開発・導入されてはいるが、リアルのコミュニケーションは希薄化する一方だ。

「新しい働き方」でコミュニケーションが貧困化

 何か言えば、セクハラだ、パワハラだと多くの上司が萎縮し、何を言っていいのかわからない、と口を閉ざしがちな昨今、ただでさえお粗末な職場のコミュニケーションの貧困化に拍車をかけるのが、オープンオフィスやフリーアドレス、リモートワークなどと言った「新しい働き方」である。

©iStock.com

 仕切りや部屋などを取っ払い、壁をなくすことでコミュニケーションの活発化が期待された「オープンオフィス」は、日本でも急速に普及が進んでいるが、ハーバード大学の研究によれば、この導入によって、フェイス・トゥ・フェイスのコミュニケーションが以前に比べ70%以上低下したという。

z