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2019/12/23

genre : ライフ, 社会, 企業

「フリーアドレス」「リモートワーク」への警鐘

 かつて、筆者が働いていた新聞社でも、建て替えと当時に、複数階をぶち抜いて、巨大なオープンオフィスとなったが、違う階の隅っこの話声が聞こえそうなほどの、静寂に包まれていることに違和感を覚えた。オープンになったからこそ、死角が消え、逆に、周りのちょっとした雑音が気になるようになってしまっていたのである。

「初めて会う人恐怖症」の多い日本人には、自分の固有の席がない「フリーアドレス」化も様々な人と話すきっかけにはなりにくい。いつも隣に座っている人との何気ない会話も消え、ただ終日、黙って仕事をするだけ、といった人も増えている。

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 また、働き方の自由度を上げる「リモートワーク」も諸刃の剣だ。個々人の自立的なワーキングスタイルを促進する反面、リアルな接触時間の減少によって、社員間のコミュニケーションが減少している側面は否めず、多くの産業医が、リモートワークによる、社員の孤立に警鐘を鳴らしている。

 こうして、日本の職場のコミュニケーションは瀕死状態にあり、その結果として、職場内で孤独感を感じる人も増えている。職場で、友人がいるなど、良好な人間関係を築く人の生産性や満足感はそうでない人よりも高く、職場内でのコミュニケーションの欠如、孤独の蔓延は、生産性や社員の満足度、幸福度を著しく下げてしまうことは様々な研究や調査で指摘されている。

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「コミュニケーションは酒の席で」と個人に責任を丸投げしている企業の現状とその象徴としての「忘年会」。身体の血の流れの良くするために、多少の酒は効くのかもしれないが、組織の血流となる「コミュニケーション」を活性化するのに、酒の力など借りている場合ではない。職場のコミュニケーションの抜本改革は、しらふで真剣に、行うべき「一丁目一番地」の経営課題だ。

世界一孤独な日本のオジサン (角川新書)

岡本 純子

KADOKAWA

2018年2月10日 発売

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