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大衆そばとラーメンが“合体”した2019年 立ちそば界1番のニュースは「水道橋の名店が……」

2019/12/24
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 訪問したのは午後3時半。薄暮の外観は以前とほぼ同じだ。店内にたくさん貼ってあった短冊状の手書きメニューはなくなり、すっきりとした合板の壁に、写真付きのメニューが並んでいた。センターのテーブルで食べることができるようになって、座席は少し増えて、気持ち広くなったような印象を受ける。以前はなかった券売機も右手にある。この時間でも客足は絶えない。

薄暮の「とんがらし」。外観は以前とほぼ同じだ
壁にあった短冊メニューはなくなり、すっきりしている
写真入りのメニューでわかりやすい
以前はなかった券売機も登場した

新店主で「天ぷらそば」の味は変わった?

 継代した味はどうなのか、店主の樋口さんに挨拶し、まずは以前から食べていた「冷やしなす天そば」(460円)を注文してみた。熊本県宇土市の旨い茄子を使用しているという。

薬味のショウガとサービスたぬきは健在である

 注文時、値段が同じなので温かい、冷たい、麺はそば、ひもかわ(※平打ちのうどんを「きしめん」というが、群馬などの北関東では「ひもかわ」といわれている)を選択できる。これは以前と同じである。

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 出来上がると食券の番号を呼ばれる。それと引き換えて注文品を受け取るシステムになったようだ。

とろけるような旨さの「冷やしなす天そば」

 さて、ひと口つゆを啜ってみる。きりっとした甘みの少ないつゆ。麺は以前と同じ茹で麺だがコシもある。なすは長さが半分にカットされて揚げてあるのは以前と異なるが、味はこの時期でもとろけるような旨さだ。

「冷やしなす天そば」(460円)はショウガを載せていただく

『なるほど、十分に味が引き継がれている』という印象だ。

 樋口店主に聞くと、「天ぷら盛り合わせそば」が相変わらずの一番人気だそうだ。

新店主は広告代理店の現役社員

 実は樋口さんは九州福岡の広告代理店の社員だという。もう1人の男性スタッフもそうだ。つまり、長期赴任中で奮闘しているわけである。新事業である食品事業部の拡大の折、東京の「とんがらし後継者募集」の話を知ったという。2018年12月頃、来店して食べた「天ぷら盛り合わせそば」に感動し、すぐ応募したという。