先月三十一日、新学習指導要領が公示されたわね。小中学校の歴史教科書で、「聖徳太子」「鎖国」などの言葉をほぼ従来どおりに使い続けることになった。二月に示された改訂案では、中学校では「厩戸王(聖徳太子)(小学校ではこれが逆になる)」「江戸幕府の対外政策」などと言い換える方針になっていた。
最初は深く考えていなかったけど、朝日新聞の記事を読んでビックリ! 保守系の『新しい歴史教科書をつくる会』が「聖徳太子」という呼称を守るため会員に意見を送るよう働きかけていたというの。今回寄せられたパブリックコメントのおよそ四割にあたる約四千六百件が「聖徳太子」についてだったとか。彼らのホームページを見れば、わずか一か月の意見募集期間に「つくる会」が大キャンペーンを繰り広げていたことがわかる。公示を受けて「学習指導要領改悪を阻止した大勝利」とさえ書かれているのよ。
なぜ「聖徳太子」という呼称が大切か。なぜ「鎖国」という言葉を消してはいけないか。学問上、様々な歴史認識があるのは全くおかしくないけれど、特定の思想や圧力によって文科省の方針が急に覆ったことには、やっぱり見過ごせないものを感じるの。
新学習指導要領では、中学校の保健体育の「武道」の一つに「銃剣道」が明記された。これもパブコメを受けた変更というけれど、あまりに唐突。違和感を覚えるワ。「銃剣道」って戦中の軍事教練に採用されていたもので、現在は木銃で相手の身体を「刺突(しとつ)」して勝敗を決める。中学生の剣道では、「突き」は危険だから禁止されてるっていうのに!
さらに同日、「教育勅語」を「憲法や教育基本法に反しないような形」でなら教材使用を否定しない、という閣議決定まで出された。森友学園の問題はじめ、一連の動きの背景になにがあるのか。なんだかザワザワするわね……。