力を入れるのは政策より「好感度」
参院選前に芸能人との写真をよく公開していた。最近では嵐のライブ後に面会した様子を投稿。
《官邸のSNS運営は、民間企業からの出向も含む内閣広報室の20代、30代の若手職員約10人らが担う。首相や官邸がSNSに力を入れるのは、支持層固めを意識するためだ。》(朝日7月3日)
官邸が若者対策に力を入れていることがわかる。
しかもそれは政策ではなく「好感度」。
この手法は自民党の発信にも同じ匂いがする。たとえば「#自民党2019」と名付け、10代のアーティストやダンサーを起用したPR動画をネットで流したり、人気イラストレーターが首相をイメージして描いた侍の絵も話題になった。これらは別に全面的に共感されなくてもよいのだ。少しでも目に触れたり、親近感をふわっと抱いてもらえれば成功なのだから。
先述した記事では政府関係者がとても大切なことを漏らしている。
「首相は新聞を読まない層を重視している。SNSで自分でつかみ取った情報は『真実だ』と信じる傾向にある」
この言葉、じっくりと味わいたい。首相会見の言葉と答え合わせができるではないか。
スキャンダルが発生してもふんわりとSNS発信
つまり首相は単に若者とネットを称賛しているだけではなく「今までのメディア、とくに新聞なんてもういらない」と思っているのではないか。会見の言葉からは首相の心の声、ワクワク感を行間から感じる。裏テーマは「打倒、新聞」か。
そう考えると昨年こんな発言が政権幹部からあった。
「麻生太郎副総理『新聞読まない人は全部自民党支持だ』 政権批判に不満?」(産経ニュース2018年6月24日)
麻生太郎氏は2017年秋の衆院選は、“若い有権者層で自民党の得票率が高かった”とした上で、
「一番新聞を読まない世代だ。読まない人は全部自民党(の支持)だ」
記事では「安倍晋三政権への批判が目立つ新聞報道への不満を漏らした発言とみられる」とある。
現政権は新聞への不満が高いことがうかがえる。麻生氏は「新聞(の購読者増)に協力なんかしない方がいいよ」とも言っていた。
この本音を頭に入れておくと「官邸発ネット発信」の意味がなおさら重く感じないだろうか。
政策よりもイメージ重視。スキャンダルが発生してもふんわりとした話題をSNSで発信すればいい。そんな戦略。