★「ジャイアントパンダ」→「パイアントジャンダ」…1文字入れ替えるだけで笑いが生まれる、スプーナリズム。さらに面白さを極めてみよう!
ステップ3 リズムのいい言葉をあえて脱臼させてみる
特に固有名詞の中には、リズムと響きが良くなるように考えられて命名されたものが少なくない。ちゃんとリズムを計算されて付けられた名前を、あえて入れ替えてしまう。なんて冒涜的でぞくぞくする行為なんだろう。「けつだいらアウォード」の投稿作品で、このパターンで印象的だったのは「てっかほっかほい(ほっかほっか亭)」。まず「ほっかほっか亭」を入れ替えようと思いついたこと自体が素晴らしい。そもそも元からして、聞く人に親しみを与えようとしたのだろう。促音を2回使い、同じ音を繰り返すというリズムのいい名前である。なのに生命線といえる同じ音の繰り返しをバラバラに刻み、「ほい」という絶妙に間抜けなかけ声を引き出して脱臼させてしまった。そんな技ありの名作である。
そんなわけで私も、同じ音を繰り返している言葉をバラバラに切り刻んでみることにした。「ほい」ほどの腰砕け感を発見することは難しかったかもしれない。
桃の天然水→てものもんねんすい
ワニワニパニック→パニワニワニック
バレンタインデー→デレンタインバー
カンニングペーパー→ペンニングカーパー
ギンギラギンにさりげなく→サンギラギンにぎりげなく
ステップ4 「間の抜けた響きの音」を探してみる
「てっかほっかほい」の「ほい」もそうだけれど、特に意味はないけれど間の抜けた響きの音というのがある。「けつだいらアウォード」投稿作品にもあった「クンシング・ダイーン(ダンシング・クイーン)」の「ダイーン」なんて、意味はよく分からないが志村けんのギャグ「アイーン」を思わせる間の抜けた響きだ。「あらフンジェリコ(フラ・アンジェリコ)」や「フンジャミン・ベランクリン(ベンジャミン・フランクリン)」の「ふん」もそんな感じだろうか(「糞」を連想させるからかもしれないけど)。
そして「間の抜けた響きの音」になる頻度が高いのが「パ行」の入った言葉だ。「けつだいら四天王」の一角、「マール・ポッカートニー(ポール・マッカートニー)」がこれにあたる。意味はわからないけれどおかしい。ポッカートニー。ほかにも「ポッポロサテト(サッポロポテト)」、「せろやきゅうぷんしゅ(プロ野球選手)」、「ダルトガルぽいひょう(ポルトガル代表)」。パ行が入るだけでなぜこんなに面白いのか。日本語に少ないからだろうか。パ行が入るといっきに脱力した雰囲気になる。これを「Pの魔力」と呼びたい。
なので日常で使用頻度が高いパ行の入った言葉をおさえておくと、「Pの魔力」を操りやすくなるかもしれない。ちょっと挙げてみよう。