ローソンにて絶賛発売中の『週刊文春エンタ!』に掲載、声優・上坂すみれさんと時代劇評論家の春日太一さんの対談は、そのディープな応酬で大評判。実は紙幅の都合でやむを得ずカットした部分が多々ありました。その中から、上坂さんがソ連とソ連映画に詳しいという話から俎上に上がった『T-34 レジェンド・オブ・ウォー』の部分をエクストラとして大公開!(対談後、映画は公開されて日本でも大ヒット、現在も上映中です)
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ちゃんと悪いヤツがいる
春日 あと、上坂さん、これ見ました? 『T-34 レジェンド・オブ・ウォー』(公開中)。第二次大戦時のソ連を舞台にした戦車アクションなので、ソ連とミリタリーの両方が好きな上坂さんにピッタリと―――。
上坂 これ、私、お世話になっています。
春日 おおっ!?
上坂 予告編のナレーションをしました!
春日 素晴らしい。分かっている配給会社ですね。最初に作品の存在を知った時に「戦車でソ連――これはたぶん上坂さん好きなんだろうな」ってふと思って。
上坂 無論ですね。メッチャよかったです。
春日 ほんと素晴らしかった。
上坂 娯楽映画が帰ってきたというか。
春日 かつてはよく作られていた娯楽戦争映画のテイストなんですよね。最近のシリアスなのとは一味違う。
上坂 しかもソ連の戦車がこんな頑張りを見せる――あり得ないプレーを見せるんですけど。しかもたった一輌のボロボロのソ連の戦車が。まず冒頭のシーンが最高。ご飯を作る車輌で、ドイツの正確無比な射撃をよけて見せるという。
春日 最初から掴まれました。
上坂 そこから主人公は士気がほぼゼロのソ連の戦車小隊に入れられて、だけど士気を取り戻させ、一輌しか残ってない戦車を見事復活させる。
春日 まあ、テンション高く燃えさせてくれる。
上坂 またイェーガーがすごくいい役をしているんです。
春日 ドイツ側の軍人ですね。あれがいい具合に立ちはだかる。
上坂 ちゃんと悪い奴。戦いのラストで撃ち合いになって、主人公のソ連軍人が素手なのに、自分は拳銃で撃っちゃう。
春日 悪としてやるべきことをやってくれているから、また盛り上がる。
上坂 でも、確かに戦場にはこういう人いるよね、と思いました。
春日 彼も決して無能ではなくて、頭が切れて、主人公を追い詰めていくわけですからね。