2020年、激動の大政局 秋以降は「オリパラロス」に
鹿島 それでは、最後に2020年の展望について。地獄耳師匠は、どんな風に予測していますか?
地獄耳 2020年はオリンピックで華やかな話題も多そうですが、激動の大政局になると思っています。まず、トランプ大統領の再選があるかどうか。それによって日本の空気は大きく変わる。夏の都知事選も注目です。そして、オリンピックで世界中からインバウンドのお客さんがやってくると、日本のいいところより、どうも悪いところが目立ってくるんじゃないだろうかと。
鹿島 「日本スゴイ」が「日本スゴかった」状態に。2020年って、ずーっとオリンピックのことしか言われていないから、夢みたいなお祭り感は漂うと思うんですが、一方でどこかパッとしないまま終わったら、その後どうなるんだろうと……。安倍政権の政策も、憲法改正だけでなく、いろんなもののゴールを2020年に設定しています。おじさんたちの特徴として、一区切り、大団円を迎えたい気持ちがそうさせているのかもしれません。お祭りが終わってからの反動が心配ですね。
地獄耳 経済的な落ち込みと、精神的な「オリパラロス」が起こるかもしれません。そんなこと言っても、スポーツ新聞は日夜ありとあらゆるスポーツのことを書いているわけだし、今や日本人とスポーツは切っても切れないですけどね。
鹿島 そうですね。まずはオリンピックが始まれば、アスリートたちが素晴らしいから絶対に盛り上がる。その中で政界はどうなるか。例えば解散総選挙という可能性はありそうですか?
地獄耳 自民党の中には「今がチャンスだ」と言う人もいますけど、勝つか負けるかという意味では、与党を維持できるとは思いますよ。だけど、信頼関係がどんどん崩れていっている中で、令和という新しい時代を迎えたのに、なぜか閉塞感だけは続いている。この空気を国民自身が打破したくなるんじゃないか。つまり、安倍政権を倒せば打破できるという短絡的な話ではなくて、もっと冷静に、「この空気を変えるにはどうしたらいいか」というクールな世論が出てくる時期なのではないかと思います。
さらに来年、もし安倍さんが辞めたとしますね。次の人はやっと総理大臣になれるわけですけど、7年間の尻ぬぐいは相当大変ですよ。
鹿島 ものすごい荷物を背負うということですよね。
地獄耳 つまり、安倍政治を継承するふりをして、安倍政治を否定していかなきゃいけない。オリンピックイヤーの2020年は、狂気とクールさが複雑に絡み合う年になりそうです。秋以降、国民とともに、総理自身も喪失感を抱えるかもしれません。これだけ長く続けていると、やる気がなくなった瞬間の「もういいや」が一瞬見えた段階で、真っ先に気が付くのは官僚でしょう。「この人についていっても、もういいことはなさそうだ」と。
鹿島 じゃあ、それぐらいの時期に捨てたはずの名簿が出てきたり。
地獄耳 過去を振り返ってみても、何でもかんでも後から出てくるんだから。
鹿島 自民党総裁任期の2021年9月末までやったとしても、そろそろ終わりが見えてくる。そんな時、誰かが何かをポッと出しちゃったりする2020年になるでしょうか。小さく見えて、実は小さくない反乱。そんなことが起きるかもしれないなと思います。
――2019年「今年の漢字」は、令和の「令」でした。早すぎる「2020年の漢字」予想をお願いします。
地獄耳 私は「乱」か「激」かな。うーん、「乱」にします。
鹿島 僕は……虚脱感と虚々実々の「虚」。なんか夢がないか(笑)。
(【前編】「書いてるのは誰だ?」 日刊スポーツ「政界地獄耳」の“永田町読者率”が高い理由 から続く)
※この対談の『日刊スポーツ編』は、日刊スポーツのお正月紙面で掲載予定です。
写真=末永裕樹/文藝春秋