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バカリズムと結婚した夢眠ねむ、4年前の“ほのめかし”とは?「升野さんにふさわしい私で……」

2019/12/28

 12月24日、お笑いタレントのバカリズム(本名・升野英知)と、アイドルグループ「でんぱ組.inc」の元メンバーで今年3月に芸能界を引退した夢眠ねむさんが結婚を発表した。2019年は、南海キャンディーズの山里亮太と女優の蒼井優、タレントの壇蜜とマンガ家の清野とおるなど、異色カップルの結婚があいついだが、それを締めくくるようなニュースだった。これにはとりわけお笑いファンとアイドルファンは驚いただろう。筆者もそのひとりだが、しかし2人について振り返るほど、結婚にいたったのはけっして意外ではなく、むしろ納得感を覚え、必然性すら感じてしまう。

なぜ2人の結婚は必然なのか?

 その理由はまず何より、両者ともクリエイティブ志向が強く、多岐にわたって活動していることだ。バカリズムは、イラストによるフリップ芸をはじめ、凝ったネタで人気を集めている。書籍化もされた「都道府県の持ちかた」など、その発想にはいつも驚かされる。さらに脚本家としても、2014年放送の『素敵な選TAXI』(関西テレビ・フジテレビ系)を手がけたのを機に執筆を本格化させ、2018年には、前年に自らの原作をドラマ化して主演も務めた『架空OL日記』(読売テレビ・日本テレビ系)が向田邦子賞を受賞するなど高い評価を受けた(同作は来年2月に映画版も公開予定)。テレビ出演に脚本執筆、定期的に行なっているコントライブに加え、今年10月にはトークライブを初めて開催、早くも第2弾を来年1月に予定している。

『架空OL日記』で向田邦子賞を受賞したバカリズム

 夢眠さんも、多摩美術大学出身であり、でんぱ組.incではほかのメンバーとともにステージや衣装の制作などクリエイティブな面にもかかわる一方、個人でもアート作品の制作や「たぬきゅん」という自作のキャラクターのプロデュースを行なったり、また手づくりの料理イベント「夢眠軒」を開催し、レシピ本も出している。昨年11月には、グループ卒業を前に最初で最後のソロアルバム『夢眠時代』をリリースした。読書家、文学ファンとしても知られる。『谷崎潤一郎全集』(中央公論新社)の刊行記念のイベントに出演し、谷崎の小説『春琴抄』を、作家の奥泉光のフルート演奏をバックに朗読したこともあった。読書は趣味の域にとどまらず、自分の書店を持つという夢へとつながっていく。アイドル時代より書店や取次、出版社の人たちから話を聞くなどしつつ準備を進め(その模様は著書『本の本 夢眠書店、はじめます』新潮社に収録されている)、芸能界引退後、「本好きのための書店、ではなく これからの本好きを育てる書店」とのコンセプトのもと、ついに「夢眠書店」を都内にオープンした。

夢眠ねむさんの著書『本の本 夢眠書店、はじめます(新潮社)

2人はどこで出会ったのか?

 そんな2人が初めて接点を持ったのは、2010年にバカリズムの単独ライブ「サスペンス」のエンディングテーマに夢眠さんが参加したときだった。その後、バカリズムを慕うアーティストらによって「升野軍団」なるLINEグループが設けられ、彼女も参加する。「軍団」誕生のきっかけは、夢眠さんの誕生会に、バカリズムが、歌手の土岐麻子、ミュージシャンの小出祐介(Base Ball Bear)、福岡晃子(当時、チャットモンチー)、ハマ・オカモト(OKAMOTO'S)らとともに出席したときのこと。小出祐介によれば、《みんなが空気を読んで言えなかったことを升野さんが一言、バッて言った瞬間に僕らの中で「殿ー!」ってなって(笑)。それで、またこうして集まれるといいねということで》グループができたのだとか(※1)。