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過酷であればあるほどいい 『ゆるキャン△』で沼に落ちた海外旅行オタクが解説する冬キャンプの魅力

『ゆるキャン△』は全然ゆるくないので注意

2020/01/04

genre : ライフ, , 国際

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 焚火に当たっている間は「何とかなるかな?」と甘く見ていたが、一番辛かったのは就寝時だ。テント内は外気温と変わらない上に安いマットが地面の冷気を素通りさせて体温をごっそり奪う。

 ゆるキャン△原作4巻、アニメ8話で、なでしこと共に野外活動サークルに所属するイヌ子が「底冷えして起きてもうたし」と言っていた体験そのものだったために一瞬ニヤリとしてしまうが、その直後に原作6巻の極寒キャンプでイヌ子が呟いた「うちらむっちゃヤバい所へキャンプしに来てもうたんかも……」が頭をよぎる。

 ここに比べれば、海外の冷房キンキンの空港泊(空港のベンチや床で寝ること)なんか序の口だ。これまで海外のどこでも爆睡してきた私が、初めて日本の寒さで夜通し眠れなかった。 

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 さて突然だが、ここで次の写真をご覧いただきたい。

インド北部のマナリからカザに向かう途中のチャトルーキャンプ場。

 インドの秘境と言われるスピティ谷に向かう途中、標高3,560mのチャトルーにあるキャンプ場だ。ここ一帯は過酷な旅先として旅行者の間で有名だが、若人たちがカレーを囲んでキャッキャウフフと青春キャンプを漫喫している程度にゆるい。

 標高3,560mでこのゆるさなら、日本の標高900mのキャンプ場なんてたとえ冬だろうがもっとゆるいに決まってんじゃーん。と思い込んでいたが、インドのキャンプ場と同じ標高にある富士山9合目で8月なのにガタガタ震えていた昔の記憶をすっかり忘れていた。日本はインドより過酷なのだ。 

海外旅行オタクから見たキャンプの魅力 

 震えるほど寒いキャンプを体験したらトラウマになりそうなものだが、逆に行きたくて行きたくて震えるようになり、2週間後には原作1巻、アニメ2話3話でモデルになったふもとっぱらキャンプ場でソロキャン(一人でキャンプすること)していた。海外旅行オタクがキャンプにハマるのは、あまりにも自然な流れだと思う。 

まったりお鍋キャンプの舞台、ふもとっぱらキャンプ場。リンの言う通り「解放感すげえ」である。