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東洋大・相澤&東京国際大・伊藤、2区で見せた「ランデブー」の舞台裏――箱根駅伝2020「TVに映らなかった名場面」往路編

東洋大・相澤&東京国際大・伊藤、2区で見せた「ランデブー」の舞台裏――箱根駅伝2020「TVに映らなかった名場面」往路編

2020/01/04
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【2区】東洋・相澤&東京国際・伊藤「15キロのランデブー」

 2区は青学大の1年生・岸本大紀の快走が話題となりましたが、われわれが注目したのはやはり東洋大・相澤晃選手と東京国際大・伊藤達彦選手の「15キロのランデブー」です。

 昨年の箱根駅伝で、EKIDEN Newsの仲間であるポールさん(元国士舘大の投てき選手)が相澤選手の体のツヤとゆったりした大きな走りを見て、「馬並み」と表現したのですが、今年は「馬並み」に拍車がかかっていましたね。そんな相澤選手と伊藤選手が5キロ過ぎから並走。同じ4年生の2人がとても楽しそうに走る姿は、まさに「ランデブー」でした。

相澤選手(左)と伊藤選手 ©末永裕樹/文藝春秋

 昨年の立川ハーフで相澤選手が優勝、伊藤選手は2位。その後ナポリで行われたユニバーシアードのハーフマラソンでは相澤選手が金メダル、伊藤選手は銅メダルを獲得しました。伊藤選手にとって相澤選手は、ライバルであり届きそうで届かない存在。しかもお互いにリスペクトもしている、すごくいい関係なんです。

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 僕は鶴見中継所でも2人に注目していたのですが、1区の選手の到着を待つ間から楽しそうにしていて、「後から行くからな」「待ってるぞ」みたいな雰囲気が流れていました。

2区スタート前の相澤選手と伊藤選手 ©文藝春秋

 東京国際大が13位、東洋大が14位でたすきが渡り、5キロくらいで相澤選手は伊藤選手に追いつきました。普通なら風除けにしようとどちらかが後ろにつくところですが、2人は並走をするんですよ。一緒に走れることが嬉しくて仕方ないという気持ちが溢れるように、伊藤選手はときおり笑顔も見せていました。体格は違うのですが、ピッチやテンポはぴったり同じ。これはランニングをしている人ならわかると思うのですが、リズムが合う人と一緒に走ると、タイムが自然と上がることが多いんです。そう考えると、相澤選手本人もレース後に「伊藤くんのおかげ」と言ったように、区間記録は1人で作ったものではなく、伊藤選手の存在があったからこそ。伊藤選手もぐいぐいとタイムを伸ばし区間2位の走りとなりました。