【旧萱野家】信繁が贈った茶釜の写真が残されている九度山町指定有形文化財
連載第14回真田宝物資料館で信繁が九度山を脱出する直前、お世話になった村人に贈った品々を紹介したが、現存していない物もある。それが泉屋に贈った愛用の茶釜で、関連文書と写真が旧萱野(かやの)家に展示されている。
旧萱野家は元不動院と呼ばれる高野山真言宗の寺で、元禄16年(1703)、遍照寺祐尊によって建立された。冬季には高野山眞蔵院の避寒所として住職が高野山から下山し、この萱野家に居住し仏に仕えたと言われている。四代眞盛の時、高野山眞蔵院の住職を兼ねたので、以後、同院の里坊になったと推測される。1996年、江戸中期の避寒所としての寺院建築様式を残す建造物として、萱野家主屋・門・倉(土蔵)の3棟が九度山町の有形文化財に指定された。その後は民家(萱野家)として現存していたが、2009年、文化財の保存・保護のため九度山町に譲渡され、2010年1月27日より一般公開されている。
旧萱野家(大石順教尼の記念館)
所在地:和歌山県伊都郡九度山町九度山1327(遍照寺の向かい)
電話番号:0736-54-2411
交通アクセス:南海電気鉄道高野線「九度山駅」から徒歩7分程度
入館料:無料
開館時間:10:00~16:30
休館日:月曜日(ただし、祝日の場合は翌平日)
取材協力/岩倉哲夫氏、萱野正巳氏、九度山町産業振興課真田丸推進室