「世界中、ずっと移動しながら仕事をしてきたから、3週間以上とどまっていると、ムズムズしてきます(笑)。どの地も印象深いけど、フランス西南部、ラスコーの洞窟壁画近くにある友人のスタジオは、日没風景がずるいほど美しかったですね。オレンジ色に染まって映画みたいでした」
『エヴァンゲリオン』『シン・ゴジラ』など、庵野秀明監督作品に外せない印象的な劇伴音楽を作り上げてきた鷺巣詩郎さん。この度ベストソング集『録音録』とともに、過去のエッセイをまとめた『執筆録』を刊行した。同書には庵野監督と、『ハリスの旋風(かぜ)』『マグマ大使』などを制作したアニメ・特撮作家だった父・うしおそうじ氏の思い出も収録している。
「庭に撮影用の白馬がつながれていたり、漫画は読み放題だったり。子供には夢のような環境でした。父は本当に才能ある人だったし、一般の人にも知って欲しい。自慢したくてね。庵野監督とは30年近く一緒に仕事してきたけど、売れたいという気持ちと、作りこみたいという気持ち、両方に異常なほど貪欲な人です。音楽もファッションや料理も、しつこく作りこむ人に惹かれます。自分も職人だからかな(笑)」
INFORMATION
『執筆録 其の1』
DU BOOKS 2500円+税
『録音録』
SONY 3000円+税